2015年12月 のアーカイブ

知っておきたい「遠近両用メガネ」の話 第6話

第6話 総集編 Q&A

今まで5回にわたって遠近両用メガネの解説をしてきましたが、今回はよくある質問にお答えする形で遠近両用メガネについて解説します。

 

Q遠近両用メガネを掛けると老眼が早く進むのではないか?

A老眼は遠くから近くへ自動的にピントを合わせる目の調節力の衰えで、加齢とともに進行します。遠近両用メガネはその人の(残っている)調節力を最大発揮して足りない部分をメガネで補うしくみなのでこれにより老眼の進行が早まることはありません。

 

Q遠近両用メガネは慣れづらいのではないか?

A慣れづらい場合は、度数や目とレンズの位置関係またはレンズ設計との相性になんらかの不具合が考えられます。それらが適切な遠近両用メガネは便利に使うことができます。しかし老眼になる前の若いころの視野と比較すれば狭さを感じる時があります。

 

Q遠近両用メガネはいくらくらいか?

Aひと昔前はかなり高額でしたが、最近は格安品で1万円台から販売されています。業界の統計を見ると昨年の全国平均は3万円台です。

 

Q遠近両用メガネで値段に差があるのはなぜか?

A一般にメガネの値段の差は、フレームではチタンなどの高性能素材、日本製、有名ブランドなどが価格が高めで、レンズでは薄く軽くする高屈折率素材、高機能コーティングなどで価格が上がります。遠近両用メガネは少しでも視野を広くするための設計上の競争が各メーカーで行われていて、その性能によっても価格に違いがあります。

 

Q遠近両用メガネと中近メガネのどちらがいいか?

A一般的には、日常生活のほとんどのシーンに対応できる遠近両用メガネがいいと思います。中近メガネはデスクワークや読書等が長時間の場合、だいぶ細かいものを見る場合、老眼が進んできて遠近両用メガネでパソコンの画面を見る時にアゴが上がって疲れる場合等に最適です。室内程度の遠さは見えますが、車の運転には適していません。

 

Q50代でも近くが見える人がいるが老眼にならない人もいるか?

Aその人は近視です。近視の人はメガネを外せば近くが見えます。しかし遠くはぼやけています。遠くが見えるメガネを掛けると近くは見えません。若いころのように遠くも近くも見えることはないので老眼です。老眼にならない人はいません。

 

Q老眼になったら遠近両用メガネを掛けた方がいいのか?

A見づらさを我慢していると、眼精疲労や肩こりになったり、眉間にしわがよったりします。遠近両用メガネを掛けることによる弊害はないので掛けた方いいと思います。今までメガネと無縁だった人は、メガネを掛ける事自体の煩わしさや、レンズを通した見え方、視野の狭さなどに違和感を持つかもしれませんが、必要ないときは掛けずに必要なときだけ掛けるという使い方で問題ありません。

 

Q老眼が進むたびにメガネを作り直さなくてはならないか?

A老眼は年齢と共に確実に進みますがゆっくりと進みます。一般的には3年くらいたつと遠くはいいのですが近くが見づらくなることがあるので、そういう場合は作りなおした方がいいと思います。レンズ交換だけできる店もあります。なお、生活していて見え方に急な変化がある場合は眼科の受診をおすすめします。

 

Q遠近両用メガネを掛ければ老眼になる前と同じように見えるか?

A遠近両用メガネは遠くを見るエリア、近くを見るエリア、それを結んで連続的に度が変わる中間のエリアがあり、視線の使い分けで遠くから近くまで全てにピントが合います。横の方に少しぼやけたり歪んで見えるところがあるので、老眼になる前と全く同じように自由にピントが合って視野も広い状態は再現できませんが、現在のテクノロジーでは老眼の視生活を快適に過ごすための一番いい道具と言えます。

 

Q遠近両用メガネ以外のメガネは必要ないか?

A日常生活全般には遠近両用メガネが必要ですが、老眼が進んだ場合や、仕事等で長時間近いところを見る、あるいは細かいものを見る場合は、さらに専用メガネを持つと楽です。また、スポーツ用に設計を工夫した遠近両用メガネや、外で色が着く調光タイプの遠近両用メガネ等もシニアの視生活向上に役立ちます。