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市民タイムス掲載 第2話 老眼の人に、仕事の効率アップができるメガネ

50代後半から是非おススメしたいメガネが中近メガネです。今回はなぜ中近メガネがオススメかを説明したいと思います。

遠近両用メガネを掛けて、デスクワーク等でパソコンを使っていて、以前より疲れを感じる方は多いと思います。それには理由があります。遠近メガネは遠くを見るエリア(遠用部)がメガネの上半分弱くらい、近くを見るエリア(近用部)が下3分の1くらいあり、それを結んでなだらかに度が変化する部分があります。この部分を累進帯と呼びますが、この累進帯のおかげで遠くから近くまでスムーズに焦点が合います。

ところがこの累進帯というのが上下のエリアに比べて少し狭いのです。まだ老眼がそれほど進んでいないときはパソコンの画面を累進帯と遠用部で見ますが、老眼が進んでくると累進帯と近用部で見ます。そうすると以前に比べて2つ疲れの要因が増します。1つは遠用部より近用部の方が狭いので狭いところから見ることになるということ、もう一つがアゴを上げた姿勢で見ることになるということです。

それで眼精疲労や肩こりが増し仕事等の効率が落ちます。

この状態を解決できるメガネが中近メガネです。中近メガネは遠近メガネより遠用部を狭くしてその分累進帯と近用部を広くしています。それで広い視野と楽な姿勢でのデスクワーク等が可能になります。遠近よりは狭いものの遠くも見えます。メガネを作る立場で言うと中近メガネは難易度の高いメガネです。メガネの使用環境等作る上でのポイント事項をしっかり確認して、適正な度数、設計、目との位置関係で作られていれば大丈夫ですが、そうでない場合は使いづらいメガネになることがあります。

老眼にも、それぞれ

老眼は40代後半からだれでも経験することになりますが、元々の目の状況によってちょっと違った体験をします。
元々の目の状況を大きく分けると、「強めの近視」「弱めの近視」「弱めの遠視および近視でも遠視でもない正視」「強めの遠視」の4種類くらいになります。
弱めの近視と弱めの遠視および正視の人が多いのですが、日本では強めの近視の人も結構います。
では、老眼になってくるとどのようなことを体験してくるのでしょうか?

まず、強めの近視の人ですが、遠くが見づらいので若いころからメガネもしくはコンタクトレンズを使用している人がほとんどです。
老眼になると、メガネを掛けた状態で近くが見づらくなってくるので、メガネの度を少し弱めたり、メガネをおでこに上げて近くのものを見たりします。この場合焦点がかなり近いのでかなり近づけて見る必要があります。老眼は年齢と共に進むのでだんだんこのやり方では不便になり、遠近両用メガネを使用する人が多く、初めての遠近もすんなり慣れてしまう場合多いようです。

次に、弱めの近視の人は、やはり遠くが見づらいのでメガネを掛ける人が多いのですが、少し遠くが見づらくてもメガネを掛けない人も結構います。老眼になると最初のうちはメガネを外せばちょうどいい位置で近くは良く見えるので、メガネを掛けている人はおでこにメガネを上げて近くを見る仕草が頻繁になります。デスクワークはメガネを掛けない方が快適です。よく、50代でも自分は老眼になってないと思っている人がいますが、この種の目の人たちです。しかし、老眼というのはメガネを掛けた状態で、またはメガネを外した状態で、遠く近く両方が良く見ることができなくなってくる現象で、例外なくどなたも40代後半から老眼になります。弱めの近視の人は老眼になってもメガネなしで、または近視用のメガネで過ごしている人も結構いますが、老眼が進んでくるとやはり遠近両用メガネを掛ける人が多く、比較的初めての遠近両用に慣れやすい目です。ちなみに私はこの種の目で、メガネを外すと近くは見えますが、その状態では遠くが見づらいので遠近両用メガネを掛けています。

弱めの遠視および正視の人は遠くが良く見えるので若いころはメガネを掛けていません。40代後半になると近くが見えづらくなります。40代前半で近くが見えづらくなる人もいて、これは弱めの遠視の人です。近くが見づらいので最初は近くを見る時だけお手元用のメガネを掛ける場合が多いようです。しかしお手元用メガネを掛けた状態で遠くはよく見えないので、鼻メガネにして遠くを見ます。鼻メガネで遠くを見るのはシニアの代表的な仕草としてドラマや映画などでも老人の演出に使われます。弱めの遠視および正視の人も遠近両用メガネが便利なのですが、元々メガネを掛けることに馴染みのない人なので最初の遠近両用メガネは近視の人の場合より違和感を感じる場合があるようです。慣れてしまえば大丈夫です。

最後に強めの遠視の人は、かなり早くから近くが見づらくなります。30代後半で近くが見づらい場合もあります。そして、その後何年かもしくは十何年か経つと、今度は良く見えていた遠くも見づらくなります。その状態になると日常生活全般でメガネが必要になるので遠近両用メガネが必要です。強めの遠視の人の目を簡単に解説しておきますと、人の目もレンズですが元々目の度数が少し弱めで、そのため遠くを見る時も無意識ですが自力(調節力)で目を膨らませて目の度数を強くしています。この調節力は主に近くを見る時に必要な機能でこの衰えが老眼です。遠視の人は近くを見る時はさらに強い調節力が必要となり、調節力自体の衰えすなわち老眼の進行は他の目の人と変わらないのに、その目の特徴から近くが早くから見づらくなります。ちなみに調節力は10代が最高で20代以降衰えていきます。

老眼とメガネの詳しい話

老眼て何?

それは、まず知ってそうでよくわからない目の基本から。

目はとても度の強いレンズです。度が強いというのは光の方向を変える屈折力が強いということで、ものを見るためには、目を通る光をグッと曲げて目の奥の網膜に集め、その情報を脳に伝える必要があります。虫眼鏡で太陽の光を一点に集められますが、目はその何倍も強いレンズで、ディオプター(D)という単位で表し、約60ディオプターです。

もうひとつ重要なことが、この屈折力を自動的に変えることができるということです。これを調節力といいます。遠くを見る時よりも近くを見る時は、目のレンズの度を強くしないと近くのものに焦点が合いません。では、どれくらい強くするのか?答えは3Dくらいです。遠くを見ている時の目の屈折力を60Dとすると、1D強くすると、目は屈折力61Dのレンズになります。簡単な計算式でどこに焦点が合うか計算できます。1÷1D=1.0mすなわち1m先のものに焦点が合いよく見えます。2D強くすると1÷2D=0.5mなので50cm先がよく見えます。3D強くすると1÷3D=0.33mで33cm先がよく見えます。3D強くすれば目は63Dとなり、手元がよく見えるということです。

さて、ここまで理解すると老眼のことがよくわかります。老眼はこの目のレンズの屈折力を強くする調節力の衰えのことです。これが衰えるから近くが見づらくなります。目にはレンズである水晶体という器官があり、水晶体を膨らませるとレンズの度が強くなり近くが見えます。加齢とともにこの水晶体を膨らませる力が衰えたり、水晶体自体が硬くなったりして、水晶体が膨らまなくなるのが老眼です。40代後半からそうなり、加齢とともに進みます。例えば、50才で調節力が+2Dだとすると、1÷2D=0.5mすなわち遠くから50cmまではよく見えますが、そこからさらに近いところは見づらくなります。例えば60才で調節力が+1Dだとすると1÷1D=1mまでです。

さて、それでは近いところを見るためにはどうしたらいいか?目自体の度を強くできないのならレンズ(メガネ)で補ってあげればいいということになります。手元33cmを見るためには調節力+3Dが必要でした。調節力+2Dの人は1D足りません。そこで+1Dのメガネを掛ければ+3Dとなり手元が見えます。

ちなみに、この調節力の衰え=老眼の進行はかなり年齢に比例し個人差が少ないものです。そう言うと、「私は(あるいは私の周りのあの人は)、60才だけどメガネを掛けなくて新聞を読んでいますよ。」という声が聞かれそうです。そのからくりは、目の性質によります。すなわち、近視とか遠視とかその話です。近視というのは、近くに焦点が合うので遠くが見づらい目です。もともとが60Dでなく63Dの目の人は近視です。3D強い目は1÷3D=0.33mに焦点が合います。その人が調節力を例えば+3D使ったときは66Dです。+6Dとは、1÷6D=0.16mで16cmに焦点が合います。この人は、33cmから遠くはボヤけます。それでは遠くが見えなくて、車の運転もできません。ではどうしたらいいか?マイナス3Dのメガネを掛ければ、63D-3D=60Dになり遠くがよく見えます。-3Dのメガネを掛けた状態で調節力+3Dを発揮すれば、63Dとなり手元も見えます。

ここでちょっと2点説明しておきますと、ひとつは調節力というのはプラスの力、目の度数を強くする力で弱くはできません。だからたとえば63Dの近視の目の人は66Dにできても、自力で60Dにはできません。もうひとつは、近視や遠視というのは目の度数と網膜までの距離との関係で決まるということです。平均的に60Dで眼球の大きさ等が平均的だと遠いものがちょうど網膜で結像するということで、例えば60Dでも網膜までの距離が長い人は近視になります。

では、話を戻して、老眼になった時に掛けるメガネのことを説明します。先ほどの話で、普段メガネを掛けていない人が老眼になって近くが見づらいのでメガネを掛けて近くを見えるようにしますが、そのメガネを掛けた状態で遠くを見るとどうなるか?目の度が60Dの人が+1Dのメガネを掛けると61Dの状態で遠くを見るということになります。これは1D分近視の状態で遠くを見ることになります。計算で言うと、1÷1D=1mで、1mから遠くはボヤけます。+1Dのメガネを掛けて近くは見えるようになったのですが、そのメガネを通すと遠くは見えなくて困るので、メガネの掛け外しや鼻メガネ状態が必要になります。

ちなみに、もう一人の63Dの近視の目の人は、調節力が+2Dに衰退すると、-3Dの近視用のメガネを掛けた状態で遠くは60DでOKですが、近く、例えば33cmのとこころは+3Dに対して調節力+2Dでは+1D足りません。-3Dの近視用メガネを掛けた状態では老眼により50cmより近くは見づらいのです。そこで、-3Dのメガネに+1Dして、-2Dのメガネを掛ければ近くはよく見えます。しかし、-2Dのメガネを掛けた状態では元々の63Dの目に-2Dのメガネで61Dで遠くを見るので、60Dに対して+1D近視の状態で遠くを見るため1mから遠くがボヤけます。そこで、-3Dのメガネと-2Dのメガネを状況のに応じて掛け替えるか、近くはメガネを外して、おでこに上げる等して見ます。

そこで便利なのが遠近両用メガネで、最初の人の場合、遠くは0D、近くは+1Dの遠近両用メガネにすれば、メガネを掛けたまま遠くも近くも見えます。次の近視の人の例で言えば、遠くは-3D、近くは-2Dの遠近両用メガネを掛ければメガネを掛けたまま遠くも近くも見えます。それぞれ、メガネの度は違いますが、この2人がそれぞれのメガネを掛けた時の見え方は同じです。遠近両用メガネの遠くと近くの度の差を加入度と言います。この場合、両方のメガネとも加入度は+1Dです。遠近両用メガネはその人の老眼の進み具合に応じて加入度が変わります。レンズの度は0.25Dが基本単位になりますが、老眼になりたての40代後半で加入度は+0.75~1.25くらい。50代で+1.25~2.25くらい。60代以降一般的な視生活では、加入度は+3.00くらいまでです。+3.00とうのは、その人の調節力が0でも33cmが見える度です。

メガネ店では、それぞれの人の調節力を測定して足りない分をちょうど補うような度のメガネを作ります。言いかえれば、その人の(残っている)調節力をしっかり発揮した上で足りない部分をメガネで補っています。メガネを掛けると老眼が進むのではと勘違いしている人もいますが、老眼の進行というのはだいたい加齢に比例し、個人差は若干です。脚の筋肉などは、衰えを遅らせるために日々のトレーニングなどで、60代でも30代なみの人がいるかもしれませんが、調節力はそういう訳にいきません。外見が若く見える60代の人でもさすがに30代に見られることは滅多にないのと同じで、個人差はあっても年相応の調節力の衰え、すなわち老眼になります。これは、学術的にもそうですが、私どもが日々多くの方を検眼していても例外がないことがわかります。すなわちメガネを掛けても掛けなくて老眼は進みます。一番問題なのは、見づらい状態で我慢して見ていることで、目にストレスがかかり眼精疲労や肩こり等の不調の原因にもなります。

今の遠近両用メガネは遠くを見るエリアと近くを見るエリアを連続的に度が変わって滑らかに結ぶエリアがあり、見た目は境目が無く単焦点メガネと変わりません。上下のわずかな視線の移動で遠くから近くまでピントが合います。また、使う人の目の状態や用途に応じて、各メーカーから多種のレンズが発売されています。メガネ店の重要な役割としては、それぞれの方に最適の度数やレンズの種類を選定することと、フィッティング技術などで目とメガネの正確な位置関係を実現することです。人は全体の情報量の80%を目から得ているとも言われています。老眼になっても無理をして見ているということは、ストレスがかかると同時に重要な情報を効率的に入手できないということです。適切な遠近両用メガネでスマートに仕事や生活の質を上げてみませんか?

遠近世代 メガネの過矯正にご注意

過矯正とは目に対してメガネの度数が必要以上に強い状態を言います。その場合、目が疲れます。また、特に手元など近いところが余計に見づらくなります。40代後半以降、老眼になってくると、少しずつですが近視が改善される場合があります。遠くが少しだけ前よりも見やすくなってきたことに気づく場合もあります。そうすると、知らないうちに、以前作ったメガネが目に対して強い度になっている場合があります。私自身(56才)も、最近朝メガネを掛ける前にテレビの画面が前より少しだけよく見えるような気がして、実際自分で目を測ってみたところ、1段階くらい近視が弱くなっていました。2~3年くらい目とメガネの関係を測る機会が無かった場合、一度メガネ店等で目を確認するといいかと思います。もし、過矯正状態でしたら、適正な度数に変えることで、目の疲れが軽減されたり、近いところの見え方が改善されるかもしれません。

メガネとは何か?(光学的にみて)

前回の調節力についての説明で、近視や遠視のことも少し触れましたが、もし興味がある方がいたら、もう少し説明が必要かと思いましたので、「光学的な側面から、メガネとは何か?」というテーマで述べてみたいと思います。

一言で言うと、『目を、正視で調節力がある状態に近づける道具』ということができます。

目は、約+(プラス)60D(ディオプター)の大変強い凸レンズです。近視の人は調節力を使わない状態(遠くを見る状態)で、60Dより強い度の目を持った人です。(調節力については前回のブログを参考にして下さい。)それで、遠くがぼやけてピントが合いません。例えば、63Dの目の近視の人には、-(マイナス)3Dのレンズを目の前に置くと両方で60D(+63D-3D)で正視の人と同じになります。また、遠視の人は調節力を使わない状態で、60Dより弱い度の目を持った人です。例えば57Dの目の遠視の人は60Dに3D足りないので、+3Dのレンスを目の前に置くか、自身の調節力で目を60Dにします。なお、実際は60Dという目の度数だけでなく、網膜までの距離も関係してきますが、複雑な説明にならないよう、正視=60Dとして説明しています。あと、乱視は目が球体でなく少しラグビーボールのように楕円で、物が歪んで見えます。(乱視も正確にはもっと説明が必要ですが、ここでは簡単に説明しています。)例えば目が水平に対して45°方向が-3D、135°方向が-2Dなら、近視で乱視の人ですが、それぞれのところが、+3Dと+2Dの(球面でない)レンズを目の前に置けば60Dになります。

この、目の前に置くレンズ、これがメガネです。

もうひとつ、調節力がある状態に近づける、ですが、これも前回のブログの内容を理解いただいていることを前提にして説明しますと、調節力が1Dになった老眼の人は、目の前33cmのものを見るためには、33cm=0.33m=3D(1÷0.33)と、自身の(持続可能な)調節力1Dの差+2Dのメガネを掛ければOKです。しかし、ここで問題がおきます。33cm先のものを見るにはそれでいいのですが、その状態ではっきり見えるのは50cmから33cmの範囲で、50cmから先はぼやけてしまいます。前回のブログではここは説明していませんが、老眼(で正視)の人が+2Dのメガネを掛けるということは、遠いところを見るということでは、62Dの近視の人と同じ状態になっているのです。(参考までに62Dの近視の人は、2D(62D-60D)の逆数(1÷2)=0.5mから先はぼやけることになっています。(数字を変えると、64Dの人は、25cmから先がぼやける。))そこで、縦の目線移動に着目して、全ての距離にピントが合うように開発されたのが、境目のない遠近両用メガネです。この遠近両用メガネは累進帯というエリアを持っています。累進とは連続的に変化していくということで、ここではレンズの度数が連続的に変化していきます。この遠近両用メガネは、メガネの上部が遠くを見るエリア、下部が近くを見るエリア、そして上と下をつなぐエリアが累進帯で遠くから近くへ目線移動でピントが合います。現在の科学では調節力が衰えた老眼の人が、調節力自体を取り戻すことは不可能ですが、目線移動で調節力がある状態の見え方に近づけることは可能になりました。それが遠近両用メガネで、調節力がある状態に近づけることができるメガネです。

目の調節力の衰えが老眼、調節についての豆知識

近くのものを見るために、目の中のレンズである水晶体の厚みを増し屈折力を強める(レンズの度を強める)働きを調節と言います。この調節の力が衰えるのが老眼です。調節力を表す単位は、D(ディオプター)で、レンズの度の単位です。調節力は10代が最も強く、20代以降だんだん弱くなります。具体的には10代では10D以上、20才で8.5Dくらい、30才で7Dくらい、老眼が始まったと意識される45才で2.5~3Dくらい、55才で1~1.5Dくらいです。この数字の意味を知っておくとおもしろいかもしれません。逆数にすると、すなわち1÷調節力でどれくらい近くが見えるかが計算できます。例えば、30才の7Dは1÷7=0.14メートル、すなわち本とかを14cmまで近づけても見えます。45才の2.5Dは1÷2.5=0.4m(40cm)、55才の1Dは1mです。もし、30cmで読書をしたいのなら、45才の人はちょっと調節力が足りません。30cmを逆にディオプターで表すと、3.3D(1÷0.3)なので、45才の2.5Dは、その差0.8Dをメガネで補ってあげれば快適に読書ができます。55才では、3.3D-1D=2.3Dのメガネがあれば大丈夫です。老眼鏡の強さで+1.0とか+2.0というのはこのことです。少し補足しますと、人が筋肉を使う場合と同様に、調節力も瞬間最大と持続可能という見方をします。55才の人が1mも離さなくても見えるよ、という場合、それは瞬間最大で、30分や1時間その状態で読書やパソコンは無理です。メガネは持続可能の度数に近い度で作る場合が一般的です。この調節力ですが、かなり年齢に比例(反比例)して衰えます。ほとんど例外なく全員が当てはまります。

ここから先は、「私は50代だけど老眼じゃない。近くがちゃんと見えるから。」という人や「私は、40才だけど近くが見づらい。早くも老眼?」という人向けに解説します。繰り返しますが、全員45才くらいから老眼になります。(正確に言うと20代からもう調節力は衰えているのですが) 個人差はあまりありません。個人差があるのは、それぞれの方の目自体の特徴、すなわち、正視、近視、遠視、(乱視)、で、こちらが上記のような違いの原因です。正視の人の目は調節力を使わない状態(遠くをみている状態)でピントが合います。近視の場合はこの状態でピントが合いません。理由は調節力を使わない状態で目のレンズの度数が正視より強いためです。具体的には、調節力を使わない状態で人の目は約60Dなのですが、近視の人は、例えば62D、その場合、-2Dのレンズ(メガネ)を掛ければ正視の人と全く同じになります。近視の人はメガネを掛けた状態で(遠くが良く見える状態で)は、先ほどの50代の人も近くは見づらいはずです。そして、メガネを外すと近くが見えます。この外した状態がまさしく正視の人が+2Dの老眼鏡を掛けた状態と同じだからです。一方、遠視の人は、調節力を使わない状態で、目が例えば58D、正視の60Dに2D足りません。この場合遠くは見えないかというとそうではありません。2Dの調節力を使えば見えます。しかし、遠視は正視が調節力を使わない遠くを見る時も調節力を使うので疲れます。遠視の人が近くを見る時は、正視よりさらにプラスの調節力を使います。上記の例でいくと、30cmのところを見るのに、正視は3.3D、-2Dの近視でメガネを掛けない場合は1.3D、遠視は5.3Dの調節力が必要です。これが遠視の人が早くに近くが見づらくなる理由です。なお、-6Dの近視の方とか、+3Dの遠視の方とか、人によって度は違います。

老眼Q&A

老眼についてよく耳にする疑問点をQ&A形式でまとめてみました。

Q:老眼はいつごろから始まりますか?

A:45才くらいから近くが見づらくなります。

Q:個人差がありますか?また予防方法はありますか?

A:予防方法はありません。老眼自体の個人差はあまりないのですが、元々近視か遠視か正視かで近くの見え方に差があります。特に遠視の方は元々近くが苦手な目なので同じ老眼の進み方でも近視の方より近くが見づらい傾向があります。

Q:なぜ老眼になるのですか?

A:目は遠くから近くまでピントが合うように無意識に調節力という力を使って、イメージ的には目(水晶体)を膨らませています。この調節力は近くの物を見る時に必要で、調節力の衰えが老眼です。

Q:近くが見づらい時はどうすればよいでしょうか?

A:メガネをかければ近くが見えます。メガネの種類としては、お手元専用か遠近両用になります。お手元専用は近くを見る時だけ使います。遠近両用は掛けっ放しで近くも遠くも見えます。

Q:老眼の進み具合でメガネも替える必要がありますか?

A:2~3年くらいで替えた方が見やすいです。だいたい40才代後半から60才代後半くらいまで近くの見づらさが進行します。

 

 

 

 

だれでもわかる目のはなし

今回は何となくわかっているようでわからない私たちの目の話を簡単に説明したいと思います。

近視とか乱視とかメガネに関係するところの説明です。

まず、言葉として登場するのは「正視」「近視」「遠視」「乱視」「老眼」です。

1.正視

正視は度付きメガネは必要ありませんが、後の近視等の説明がし易くなるので最初に登場します。目は強い凸レンズで目玉の後ろにある網膜に焦点を合わす(『結像』と言います)役目をしています。理科の虫眼鏡で太陽の光を一点に集めるところをイメージしてください。この網膜で結像していればものが見えます。目をリラックスさせた状態(『解放状態』といいます)で、網膜に焦点が合っているのが正視です。この解放状態は遠くを見る時の目と考えてください。では近くを見る時は、比ゆ的表現ですが目のレンズ(水晶体等ですが目玉と表現しておきます)を膨らませて度を強くしてピントを合わせる感じです。このことを『調節』といいます。無意識にこの調節を行うことにより遠くから近くまで見ることができるのです。

2.近視

遠くを見る解放状態で目玉のレンズの度数が強くて、もしくは網膜までの距離が長くて、網膜より手前で結像する目のことです。なので、網膜で結像するように凸レンズと反対の凹レンズをメガネとして掛け、メガネと目玉の二つのレンズを相殺させます。この時必要な凹レンズの強さをメガネ屋で確認しています。

3.遠視

解放状態で目玉のレンズの度数が弱くて、もしくは網膜までの距離が短くて、(理論上ですが)網膜より後ろで結像する目のことです。なので、無意識にですが遠くを見る時も目玉のレンズを調節して網膜で結像させています。凸レンズをメガネとして掛け、メガネと目玉の二つのレンズを足して網膜で結像させることで調節力を使わなくすることができます。

4.乱視

目玉は球体ですが人の器官ですから少し歪んだ球体の場合がありこれが乱視になります。乱視の説明はかなり複雑になりますので、超簡単に比ゆ的にご説明します。歪みというのをラグビーボールをイメージしてください。こういう形の目玉は網膜で1点で焦点を結びません。なので、ものが歪んで見えます。そこで目玉の歪みと逆方向の歪みを持ったメガネレンズで補正します。

5.老眼

目の調節力が衰えてきた目を老眼といいます。調節という言葉を繰り返し説明しますと、遠くを見る解放状態から目のレンズを膨らませて度を強くしてピントを合わせる無意識の動きです。老眼は近くを見る時に調節力不足から目玉のレンズの度数が足りないので同じ凸レンズのメガネで補います。ちなみにこのメガネを掛けると近くは見えますが今度は遠くがぼやけます。なので、メガネを掛けたり外したり大変です。それを解消したのが遠近両用メガネです。(元々が中程度以上の近視の方は老眼用メガネも凸レンズではなく凹レンズになります。)

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