市民タイムス 老眼世代の快適視生活講座
第4話「進化する遠近メガネ」
遠近レンズは、外面累進→内面累進→両面制御設計の基本設計の進化と、個々の使用者に合わせたカスタマイズ設計の進化により、広い視野と自然な見え方を実現してきています。広い視野とは、遠近レンズはレンズの横の方に収差と言ってユガミが発生するのですが、それをできるだけ少なくして、明視域を広くしていることです。
滑らかに度が変わる累進設計により、境目がなく遠くから近くまですべての距離にピントが合うのが今の遠近レンズですが、累進面は予めレンズの外面に作っておき、使用者ごとに異なる近視や乱視や遠視の度を注文後レンズの内面を研磨して仕上げます。これが一般の遠近レンズで外面累進レンズといい、低コストでの生産が可能ですが、同じ累進設計で個々の度に対応するため、基準の度からずれると性能にバラツキが生じるという欠点もあります。
外面累進に対して内面累進は、注文後累進面と個々の度数を全てレンズの内面で設計し生産します。複雑なレンズ設計の技術とそれを製品化する生産技術の革新により実現したレンズで、外面累進より視野が広く性能のバラツキもありません。
両面制御設計は内面累進技術をベースに外面で補正を加えることにより、レンズを通して見ることによる大きさや形のズレを補正して自然な見え方になります。
このような基本設計に加えてカスタマイズ化というのは、メガネの装用条件、フレームの形や目との距離や角度を測定してレンズ設計に取り込むことで、個々の使用者に最適の見え方になります。
当店では、ラインナップのスタートを外面累進から内面累進に切り替えました。基本設計は内面累進と両面制御設計、内面累進はベーシックとセミカスタム、両面制御設計はセミカスタムからフルカスタムまで取り揃えています。一番価格を抑えたレンズも内面累進なのでどのレンズを選んでも外面累進より良好な視界になっています。
第3話「遠近メガネとは」
遠近両用メガネはレンズの上の方に遠用部(遠くを見るエリア)、下の方に近用部(近くを見るエリア)があり、中間部(連続して徐々に度が変わるエリア)で結ばれています。境目はなく見た目は普通のメガネと見分けがつきません。遠近メガネは目線の上下移動で遠くから近くまでピントを合わせることができ、老眼時の視生活の質を飛躍的に向上させるメガネです。
遠近メガネの度について説明します。普段メガネをかけている近視や乱視の人には、同じような遠くを見るための度が遠用部に入り、普段メガネをかけていない正視や遠視の人には遠用部は度なしか遠視の度が入ります。近用部の度はその人が必要とする加入度によって決まります。人の目は近くを見るときには無意識に目の中のレンズ(水晶体)を膨らませて度を強め、近くにピントが合うようにします。これを調節力といい、この調節力の衰えが老眼です。具体的には手元33cmを見るためには+3.00の調節力が必要です。老眼の進み具合を測定し、例えばその方の調節力が+2.00の場合は遠近レンズで不足の+1.00を補います。この+1.00が加入度です。
快適な遠近メガネのためにはメガネと目の適正な位置関係が重要です。メガネが所定の位置より下がっていると近用部に目線が届かず近くが見づらくなります。逆に上がっていると遠方視で中間部に視線が入りボヤけた感じになります。また目とメガネの距離も重要です。遠近レンズにはレンズの横の方両側に収差といって少しぼやけたり歪んだりするエリアがあります。通常はこのエリアにはあまり目線が入りませんが、メガネが目から離れていると収差が視界に入って気になったり、近すぎると近用部に目線が届かなかったりします。それでメガネ店のフィッティング技術による適正な位置が重要になります。
第2話「健康的でクールな遠近メガネ」
手元の文字などが見づらくなってきたときの対策として、普段メガネを掛けていない人は、手元用のメガネ、いわゆる老眼鏡を使うのが手っ取り早い方法かと思います。また、近視で普段メガネを掛けている人はメガネを外して近くを見ます。いったん解決はするのですが問題もあります。
例えば買い物の時に商品説明や価格の字が小さい場合や薄い場合は意味不明なので老眼鏡を取り出します。掛けたままでは歩けないのでその後外すか鼻メガネにします。会議や商談や食事などでも、資料やメニューを見るときは老眼鏡が必要、ホワイトボードを見るときや対面の方と話すときは外したい、頻繁に掛け外すか、鼻メガネにして上目づかいで見るかになります。
近視で普段メガネを掛けている方は、先ほどの鼻眼鏡の方と逆のしぐさでメガネの掛け外しが必要になります。商品を見るときはメガネを外し、歩き出すときにはまた掛ける、資料やメニューを見るときも外しホワイボードはまた掛ける、こちらも頻繁に掛け外しが必要です。
遠近両用メガネがいいのは、掛け外しが必要ないことです。境目がなく見た目は普通のメガネですが、視線を上下に少し動かすだけで遠くから近くまでピントが合います。近視の方はメガネを遠近に変えるだけ、普段メガネをかけていない方は必要な時だけ遠近を掛けてもいいですし、ずっと掛けていてもいいです。
初めて遠近メガネを掛けるときだけ慣れが必要な場合がありますが、きちんと作られた遠近メガネなら比較的短時間で慣れられます。老眼で見づらいのを無理して見ることが疲労や肩こりの原因になったり、前述の鼻メガネやおでこメガネが年令を感じさせる仕草であることを考えると、遠近メガネは健康的でクールなメガネと言えます。
第1話「老眼について」
老眼とは、普段メガネをかけていない人が近くが見づらくなる状態、近視で普段メガネをかけている人はメガネを掛けた状態で近くが見づらくなる状態をいいます。
目の中の水晶体の硬化や筋肉の衰えで、遠くから近くまで自在にピントを合わせられなくなった現象ということでは全員同じなのですが、元々の目の特徴により、生活上の不具合が異なります。
目の特徴とは、若いころからメガネに無縁の「正視や弱い遠視の人」。遠くは少し見づらいので、運転等必要な時に掛ける「弱い近視の人」。遠くが見えないので常時メガネかコンタクトレンズを使っている「強めの近視の人」。皆さんもどれかに当てはまると思います。
正視の人は45才くらいから、遠視の人はもう少し早くから近くが見づらくなり、50代では対策が必須となります。手軽なのは老眼鏡ですが、掛けたまま遠くを見るとクラクラして歩いたりできず、遠近両用メガネに切り替えると生活の質がだいぶ向上します。
弱い近視の人は40代では近くは大丈夫ですか、50代になると近くが見づらいことがあり、50代半ばからは遠くも近くもぼやけた状態で生活しています。遠近を掛ければ遠くも近くもよく見える別世界になります。
メガネを常用している近視の人は、遠くがしっかり見えるメガネを掛けている人は45才くらいから、遠くの度を落としている人は50才くらいからメガネを掛けた状態で近くが見づらくなります。強めの近視の人はメガネを外して近くを見るにはピントが近すぎ、遠く用、近く用の2本使い分けるのは面倒なので、早くから遠近を掛けている人が多く、また初めての遠近も他の目より慣れやすい傾向があります。
メガネのフォーサイトでは、2万円台~3万円台の遠近両用メガネが売れ筋ですが、初めて遠近を試してみたい方もお求めやすいようセットで税込14,300円からご用意しています。
メガネのフォーサイト 丸山 毅