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シニアの快適視生活講座
◇◇ 第四回 メガネ購入時のアドバイス ◇◇
遠近メガネや中近メガネを購入する際の注意点を説明したいと思います。
メガネフレームを選ぶとき、遠近メガネを快適に使うための機能面でのチェックポイントとして、メガネの上下の真ん中より少し上にご自身の瞳がくるくらいがベストです。だいぶ上の方に瞳がある場合は遠近の遠用部を狭く作らざるを得なくなるか、近用部までの視線が遠くなり、遠方視野が狭くなったり、近くが見づらくなります。また、あまり瞳が下の方にきていると近用部が狭くなります。
あとメガネが目にだいぶ近いと、これも近用部に視線がとどかなく近くが見づらくなりますし、まつ毛が当たったりしていると不快です。メガネが目から離れすぎていると側方の「収差」が目線に入り気になるかもしれません。これらはフィッテイングである程度改善できるので店の人に相談してみてください。
レンズの数字の基礎知識を覚えておくと参考になります。特にCという文字のあとの数字は乱視の強さで、近視や遠視の度にくらべ検眼者の裁量が大きな数字です。しっかり乱視補正をすると目がクラクラするということもあり、検眼者に確認したりテストメガネで体感するといいと思います。もう一つは加入度(ADD)という数字で、これは老眼の進み具合で変わる数字ですが、だいたい年齢に比例します。40代後半で0.75~1.00、50代前半で1.25~1.50、50代後半で1.75~2.00、60代前半で2.25~2.50、60代後半以降2.50~3.00、検眼では少し強めに出る傾向があり、強すぎると近くはよく見えますが慣れづらかったり視野が狭く感じる場合があるので、ご自身の年齢と平均的な加入度を記憶しておき実際の数字を確認していくといいと思います。
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◇◇ 第三回 メガネ購入時のアドバイス(フレーム編) ◇◇
メガネフレームの素材は、金属(チタン、合金)と樹脂(アセテート、合成樹脂)に分けられます。チタンは軽くて丈夫で、ベータチタンのようにバネ性(形状記憶)のあるものもあり、おススメの素材です。価格は合金より高めですが最近は比較的お求めやすい価格になってきました。合金はチタンより少し重量があります。また、金属アレルギーのある人には向いていませんが、安く購入できます。アセテートはセルフレームと言われて植物性の樹脂でできています。デザインや色が多様で見た目も美しく、低価格~ブランド品(一般に高価格)まで多様です。石油由来の合成樹脂は、軽くて弾力性があり、かけ心地がいいものが多く価格も比較的安価です。
産地は、低価格品の多くは中国で、日本製は比較的高価です。一部イタリアなど欧州製がありますがブランド品が多く高価です。産地にかかわらず有名ブランド品のほとんどは高価なフレームです。
性能や品質は、日本製は一般的には高性能で長持ちします。日本製のチタンフレームを選んでおけばほぼ間違いありません。中国製は品質にバラつきがあるような気がします。中には雑な作りのものも見受けられます。欧州製はデザイン重視だったり白人の顔の造作に適しているものなどが見受けられますが、非常にいい製品もあります。樹脂フレームでアセテートは鼻パットがついてないものが多いので掛けたときに鼻元のフィット感がよいか(ずり落ちないか)確認する必要があります。特に遠近や中近メガネにする場合はここのフィット感は重要です。合成樹脂はかけ心地のいいタイプが多いと思いますが、耐久性としては他に比べ低いものもあるので長く使う方は注意が必要です。
度の強い人に適さない横幅が広いフレームや、遠近に適さない縦幅が短いフレームなどもあるので、決める時は店の人に確認してもらうとよいかと思います。
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◇◇ 第二回 メガネ購入時のアドバイス(レンズ編) ◇◇
今回はレンズに関してメガネ購入時のお役立ち情報をお送りしたいと思います。レンズは大きく分けると2種類あります。一つは「単焦点レンズ」というもので、用途は近視や遠視や乱視補正、お手元用です。もう一つは「多焦点レンズ」で遠近や中近など老眼補正です。
両方に共通していることとしてレンズの素材区分があります。薄型や超薄型などと呼ばれていますが、主に5種類あり、レンズ素材の屈折率(1.50、1.56、1.60、1.67、1.74)の違いで、数字が大きいほど同じ度でも薄く軽く仕上がりますが、一般的には価格も上がります。ここでのコツは、度の弱い人は高屈折のレンズにする必要はないということです。素材に関しては、値段が高い方がいいだろうということではなく、その人の度に合った屈折率でいいということです。
あと遠近や中近についてのコツになりますが、遠近や中近は屈折率によるグレードの違いと設計によるグレードの違いがあり、設計によるグレードの違いの方が価格差が大きくなっています。ハイグレード品は性能もよく快適ですが、ハイグレードでなければダメということはありません。老眼の進み具合は初期(40代~50代初)、中期(50代)、後期(60代以降)となりますが、老眼の進行に伴い遠近や中近レンズの上部(遠くを見る度)と下部(近くを見る度)の差(加入度)をだんだん大きくする必要があります。初期で加入0.75~1.25、中期で1.50~2.00、後期で2.25~2.75、加入度が大きくなるとレンズの側方部(両端)の収差(ボケ、ゆがみ)が大きくなり明視域が狭くなります。この時にハイグレード品の方が快適な視界になります。初期の段階ではグレードの差による見え方の差は中期以降より少ないので、どうしてもハイグレードにしなくてはいけないということはないと思います。
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◇◇ 第一回 メガネ購入前の一般知識 ◇◇
今回のシリーズは、遠近や中近メガネを中心にメガネに関して、購入前、購入時、購入後にそれぞれ役立つ情報を月1回6か月間掲載させていただきますので、ぜひご参考になさってみてください。
早速、今回第一回は購入前の一般情報をお伝えします。
メガネ製作にかかわるのは、レンズメーカー、フレームメーカー、メガネ店です。
レンズメーカーはそれほど数が多くなく、HOYA、SEIKO、NIKON大手3社と中小の何社かです。大手3社で70%以上のシェアを占めます。メガネレンズは医療機器の扱いで、性能や品質はどれも一定水準以上でいわゆる粗悪品はありません。遠近や中近レンズの性能もどのメーカーもだいたい横並びのような感じがします。レンズに関してあまり当たりはずれはないと考えていいと思います。
一方フレームメーカーは比較的多数です。後の回で購入時のコツを詳しく説明しますが、フレームは素材や生産地によって性能に特徴や違いがあるので、店の人に相談するか、ご自身で絞り込んだ場合も最後に店の人に確認して決めた方がいいと思います。
メガネ店(松本地域の)は大きく分けると、①低価格指向の全国チェーン店、②一定価格(2万円前後)の全国チェーン店、③地元のチェーン店、④地元の小規模専門店になります。どの店でもすべての種類のメガネ(単焦点、遠近、中近等)が入手可能ですが、特徴や得意分野もあります。①は低予算で購入でき、比較的若年層中心、②③はメガネの種類や客層も多様でオールマイティ、④は取り揃えに特徴のある店があり、ハイセンスのフレームの店、高級ブランドを揃えた店、当店のように遠近や中近を得意とする店、などがあります。
老眼と理想のメガネライフ
老眼になるとなにかと不便ですが、メガネにより解消できます。
老眼は40代中ごろから始まり、徐々に進行して60代後半まで進みます。老眼の程度を「弱」「中」「強」とすると、50代前後までが弱い老眼、50代中ごろが中程度、60前後以降が強い老眼となります。
生活環境にもよりますが、弱の時期は遠近メガネだけで日常生活全般をカバーできます。
老眼が中程度に進んでくると、デスクワークにおいて遠近メガネの下の方の近用部でパソコンの画面を見るようになり、アゴを上げた状態になって疲れます。また遠近メガネの近用部は上の方より視界が狭いのでこちらも見づらい原因となります。この場合日常は遠近メガネ、仕事用に中近メガネを加えることで快適になります。
趣味や生活環境によりますが、寝転んでスマホや本を見たい人は、手元用メガネが一本あるととても便利です。できればブルーライトカット機能を付ければ目の疲れ軽減や睡眠の質の向上に効果があります。
あとはアウトドアや車の運転用にサングラスタイプの遠近メガネがあると、紫外線対策に加えまぶしさ対策にもなり、屋外での視生活が快適になります。
老眼が進んできたときに、ストレスの少ない視生活を実現するためにはこのように少し工夫が必要となってきます。
以前よりまぶしさを感じる
太陽の強い日差しには皆まぶしさを感じますが、夜間運転で対向車のライトがまぶしい、部屋の中でもまぶしさを感じる等、日常生活で以前よりまぶしさを感じる場合の原因と対策について説明します。
大きくは2つほど、さらにこういうこともありうるという内容を2つほど。
まず目自体に原因がある場合があります。目の中の水晶体が濁り、視力に影響が出てくるのが白内障ですが、白内障までいかなくても多くの人が加齢で徐々に水晶体が濁り、眼内で光が乱反射してまぶしいことがあります。また最近ライトの光源がLEDとなってきて以前よりまぶしさを感じる場合があります。このような場合は、レンズに特殊なコーティングやカラーリングをしたメガネが有効な場合があります。透明タイプのものと、夜間でもOKな程度の薄い色のついたものがあります。
あと考えられることとして、使っているメガネのコーティングがいたんでいて散乱した光が目に入り見づらい場合があります。また近視や乱視の補正が適正におこなわれていないメガネで光の散乱現象により見え方に違和感が生じる場合があります。これらはメガネ店で確認できるので、原因がこういった場合はレンズを交換することで解決します。
遠近メガネは遠近(だけ)ではない
遠近メガネ、英語ではbifocals(バイフォーカル)、いずれも昔からの言い方で、1760年ころにベンジャミン・フランクリンによって遠近メガネが発明されて以来の言い方です。あまり一般的ではありませんが、現在の正式名称は累進屈折力レンズ、英語ではprogressive lensです。遠近レンズは長年「上部に遠用部、下部に近用部の、境目のあるメガネ」でしたが、1950年代に境目のない遠近レンズ(累進レンズ)が開発され、現在遠近といえばほぼ累進レンズですが、今でも名前だけは日本語でも英語でも昔からの遠近メガネ(bifocals)となっています。
両者の大きな違いは、遠くと近くだけにピントが合う2焦点か、遠くから近くまで全部の距離にピントが合う累進多焦点かということです。上部の遠くを見るエリアと下部の近くを見るエリアをつなぐ、徐々に滑らかに度が変わる中間部があることが特徴です。
この新しい遠近メガネ、正確には累進屈折力メガネは誕生してから60年あまりですが、その間進化を遂げてきました。1980年代ドイツのツァイス社による両眼視が快適になる水平対称設計や、1990年代セイコーエプソン社のフリーフォーム設計・生産技術による内面累進レンズなどが主で、その結果、現在遠近メガネと言われているメガネは、技術の結晶として格段に使いやすくなった累進屈折力メガネです。
遠近/中近/近々/老眼鏡
先日NHKの「あさイチ」で、老眼対策のメガネとして、遠近、中近、近々、老眼鏡の4種類があることが放送されていました。そこでそれぞれどういうものか説明したいと思います。
老眼で一番多く使われているメガネは老眼鏡と遠近だと思います。老眼鏡は手元のみが見えるメガネで、比較的安価なので必要なところに置いておいたり、メガネチェーンで首から下げたりして、近くを見るときだけ使います。近視の人は近視用メガネを外せば近くは見えるので老眼鏡はあまり使いません。
遠近は視線の上げ下げで遠くから近くまですべてにピントが合うので、メガネを外す必要がなく最も便利なメガネといえます。
中近と近々は少しなじみが薄いかと思います。中近は遠近の室内版、近々はデスクワーク用メガネと言い換えることができます。遠近は遠くから近くまですべてにピントが合いますが、メガネの上半分ほどが遠くを見るエリアで広くとるため、手元やパソコン画面を見るエリアは狭くなります。これに対し中近は遠くを狭くし、手元やパソコン画面を見るエリアを広くしたレンズです。ホワイトボードやテレビくらいの遠くは見え、掛けたまま歩け、オフィスワーク、家事など室内生活が快適になります。車の運転等には適していません。近々は遠くを見るエリアはなく、パソコン画面と手元に特化しています。デスクトップの画面も広く見えデスクワークには最適ですが、掛けたまま歩くことはできません。一般的には遠近と、中近や近々をもう一本合わせ持つという感じです。私もオフや通勤は遠近、店では中近を掛けています。
遠近両用メガネで手元の文字が見づらい
【50代男性】
【主訴】遠近メガネをかけていて、遠くは問題ないが近くが見づらい
【原因】セルフレームで、目の位置がメガネのだいぶ上の方に来ているため、近用部に目線がとどかない
【解決方法】新しいレンズに交換し、フィッティングポイントを5mm上げた
【解説】遠近メガネはレンズの中に上から遠用部と中間部と近用部が配置されています。
中間部は累進帯と呼ばれ滑らかに徐々に度が変化している領域です。遠用部と中間部の境がフィッティングポイントで、瞳の中心がここ、もしくは少しその上にくるようレンズをフレームにセットします。この位置が瞳に対して低すぎると近用部に視線が届かず、今回の例のように近くが見づらい遠近メガネになってしまいます。
セルフレームは鼻パットがついていないタイプが多くメガネの位置(高さ)を変えられません。
鼻パットがついているフレームでは、フィッティングにより高さを変えられるので、レンズを新しくしなくても対応できる場合があります。
また、セルフレームは目に近い距離でかかるので、位置合わせを慎重に行うとともに、目線の届く位置を考慮して中間部の短いタイプの設計を選んだ方が無難です。
遠近メガネ よくある質問
Q:遠近メガネは「試したが掛けられなかった」という話を聞くが。
A:遠近レンズは進化しています。「境目のない遠近メガネ」の、なめらかに度が変わる「累進面」がレンズの「おもて側」に施された「外面累進」レンズが従来主流でした。予め共通の累進面を作っておき、そのレンズの「うら面」を研磨してその人の近視や乱視の度を組み合わせて作りますが、共通の累進面はあたかも既製服のサイズのようなくくりで、ピッタリ合う人はいいのですがMとLの間の体型のように着心地、レンズでいうと見え方、がイマイチという人もいました。これに対して最近の主流は「内面累進」といって、メーカーは注文データに基づき個々に累進面と近視、乱視の度などすべてをうら面に設計して生産します。これはオーダーメイド服のようにその人にピッタリのものが出来上がります。内面累進になって掛けられないというケースは減りました。
Q:遠近メガネを使っているがどうも見えづらいのだが。
A:考えられるのは、度数が合っているかどうかと、目とメガネの位置関係が合っているかで、メガネ店でチェックすれば原因がわかります。老眼は徐々に進行するので、3~4年くらいで近くが見づらくなることがあります。メガネが下がっていると近くが見づらい、上っていると遠くがボヤケます。また上下の位置が適正でもメガネが近すぎると近くが見づらい、遠すぎると視界が歪むということがあります。瞳孔の位置がきちんと測定されてなくレンズの焦点(フィッティングポイント)とずれていると横の方がぼやけたりします。
Q:遠近メガネを掛けると老眼が進むのでは。
A:遠近メガネを掛けずに近くや遠くを見て、目を甘やかさず鍛えるとうことかもしれませんが、老眼は水晶体の硬化とそれに付随する筋の衰えが原因で、白髪の進行が止められないように水晶体の硬化は止められません。筋の衰えも腹筋のような随意筋は鍛えられますが、心臓のような不随意筋なので鍛えることはできません。また遠近メガネは個人個人の老眼の進行度を測り、足りない部分だけを補うという仕組みで作られるので、遠近メガネを掛けていてもその人の持っているピント調節能力は十分使っています。従って遠近メガネを掛けても掛けなくても老眼の進行は同じです。
Q:自分は近くが見えるので老眼ではないのでは。
A:50代以降も近くが見える人は多くいますが全員老眼です。近くが見えるのは近視の人です。何歳になっても近視の人がメガネを外せば(焦点距離に差はありますが)近くが見えます。老眼というのは遠くから近くまで自在にピント調節できなくなった目のことです。近視の人も老眼になると(遠近でない)近視用のメガネを掛けた状態では近くは見えません。人数は非常に少ないのですが年をとっても近くも遠くも見える人がいます。この人は不同視といって左右で目の度が異なり、たまたま片方の目は遠くに合い、もう片方が近くに合う場合です。便利でいいと思うかもしれませんが疲れやすい目です。
Q:なぜ遠近メガネは値段差があるのか、安いのはダメなのか。
A:メーカーがグレード分けしていて、(メガネ店の)仕入れ価格の高安が反映されます。高いレンズはレンズ側方の収差(歪みやボヤケ)が少ない、薄く軽い等の利点があります。
安いのはダメかというと一概にそうとも言えません。老眼が進行してきた50代後半からは遠近レンズの遠くと近くの度の差が大きくなり、そうすると収差エリアも広がるので、収差の少ない高グレードの方が良好ですが、それまでは、差はありますがそれほど顕著ではありません。また近視や老眼の度の弱い人は元々薄く軽く仕上がるので、超薄型レンズ等にしてもそれほど違いはありません。あとフレームの価格差もあります。海外で大量生産されたものは安く、日本製や有名ブランド品は高めです。国産はいいものが多いですが、フレームも安いからダメということはないと思います。
Q:遠近メガネ、メガネ店選びは、値段は。
A:特別なセールを除くと、松本近辺では、安いところで税込13,000円前後から購入できます。平均でいうともっと高く3万円台くらいだと思います。最近の遠近レンズは進化していて安いから見えづらいということはないと思います。当店でも税込14,300円からご用意しています。具体的にどの店とは言えませんが、遠近メガネを作る場合は知識と経験が必要なので、数を多くこなしている店が安心です。具体的には、遠近は目とメガネの位置関係が重要なので、正確な測定とメガネが安定して掛けられるようにするフィッティング技術が重要です。また見え方に違和感がある場合に、原因と対策が見極められる人がいる店なら安心感があると思います。
Q:遠近メガネを掛ければ若いころと同じように見えるか。
A:老眼の不便を解消するために一番いい方法は遠近メガネだと思います。しかし若いころと同じ快適な視界というわけにはいきません。老眼になる前は意識しなくても目が遠くから近くまで瞬時にピント調整してくれるので、遠くも近くも目全体の広い視界で見えます。遠近メガネはレンズの中に遠くから近くまでそれぞれにピントが合うエリアを設定していて、視線の上げ下げで所定のエリアから物を見ることで遠くから近くまでピントが合う仕組みです。従って物理的にそれぞれの視界は狭くなり、老眼になる前のようにすべて広い視界で見るというわけにはいきません。
Q:老眼になったら、遠近メガネをかけなくてはいけないか。
A:遠くが見えて普段メガネを掛けていない正視や弱い近視や遠視の人は、手元用メガネを掛ければ近くが見えます。遠くが見づらいので普段メガネを掛けている近視の人は、メガネを外せば近くが見えます。それで生活上問題がなければ遠近を掛けなくてもいいと思います。しかし日常生活で、手元の資料とホワイトボード、対面の人の顔を見たりスマホやメニューを見たり、買い物で値段を見たり歩いたり、遠くを見る、近くを見る、のたびにしょっちゅうメガネの掛け外しが必要となる場面は多く、そのわずらわしさを解消するのが遠近メガネです。
Q:既成老眼鏡は掛けない方がいいか。
A:住所氏名を記入する等短時間なら既成老眼鏡で問題ありませんが、読書やスマホを見る等ある程度時間がかかるときは、目の為には既成老眼鏡ではなく、その人の目に合わせて作られた老眼鏡や遠近メガネを使用した方がいいと思います。その理由は2つあります。メガネはレンズの焦点と目の瞳孔を合わせて作られますが、そうでないとプリズムが発生し目が疲れます。既成老眼鏡は一定のためそれぞれの人の目の位置と合う確率は低いと思います。また左右の目に度数差がある人は結構多く、既製老眼鏡は同じ度なのでどちらかの目に負担がかかります。
Q:遠近と中近どちらがいいか。
A:中近は遠近を使っている人がデスクワーク等をより快適にするために併用するようなメガネです。50代前半くらいまでは細かい作業等をする人を除き、遠近だけでもさほど不便は感じないと思いますが、老眼が進んでくる50代後半以降は、遠近だとアゴを上げてパソコンの画面を見て疲れる、狭いエリアから近くを見るので見づらい等の問題が生じる場合があります。こういう時に快適に見えるのが中近です。中近は室内程度なら遠くも見えるので室内用メガネとも言われます。遠くを見るエリアが狭いので、車の運転やスポーツ等には適していません。例えば通勤時は遠近で、会社に着くと中近に変えるといったイメージです。
Q:老眼はいつまで進むのか、メガネは買い替えなくてはいけないか。
A:老眼は40代中ごろから始まり70才くらいまで徐々に進行します。遠近メガネの数値に加入度というのがあり、遠くを見る上部の度数と近くを見る下部の度数の差の数字で、0.25単位で老眼の進行と共に増えていきます。老眼なり始めは+1.00くらいから50才で+1.50くらい、60才で+2.25くらい、最終的に+3.00近くになります。だいたい3年くらいで1段階上げていく必要があり、メガネを作り変える必要があります。フレームは活かしてレンズだけ交換することもできます。
Q:初めての遠近、慣れられるか
A:適正に作られていれば基本慣れられますが、慣れやすさに個人差があります。傾向としては2つあります。遠近デビューが何歳かということと、それまでにメガネをかけていたか(遠近でない近視用メガネ)どうかです。年令を40代~50代前半と50代後半以降に分けてみると、一番慣れやすいのが今までメガネを掛けてきた人で40代~50代前半の人です。掛けた瞬間から違和感なく掛けられる人も少なくありません。今まで掛けていた人で50代後半以降の人は少し慣れの時間が必要になる場合が多いようです。今までメガネを掛けてきてない人は、レンズを通した視界や物理的に顔にメガネを掛けていることへの慣れも必要なので、今までメガネを掛けてきた人より慣れるのに時間を要します。特に50代後半以降の場合はメガネ製作時の度数のさじ加減や慣れ方の詳しい説明を必要とします。