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シニアの快適視生活講座

◇◇ メガネレンズのコーティングについて ◇◇

 

メガネレンズの構成要素として「素材」「設計」「コーティング」があります。素材はプラスチック樹脂の種類で、屈折率別で5種類ほどあります。設計はレンズをその人に必要な度に仕上げることです。

今回はコーティングについて説明します。コーティングのうち、反射防止コート、キズ防止コート、汚れ防止コート、紫外線カットは現在ほぼ標準装備されています。オプションとして有料加算されるのは、多い順に、まずカラーリングとブルーライトカットです。カラーの目的は目元のおしゃれとまぶしさ防止です。いろいろな色や濃さが選べます。色や濃さは微妙な違いがあるので、店で用意しているサンプルを見ながら店の人に相談するといいと思います。ブルーライトカットは可視光線の中でエネルギーが一番強い短波長の領域を30%程度カットして、目の疲れをやわらげる効果があります。

あと、物理的な内容と光をコントロールする内容があります。物理的には、表面を固くしてよりキズがつきづらくするコートと、曇りづらくする防曇コートがあります。防曇コートは反射が気になったり、汚れがふき取りづらかったりするのでどうしても必要な人が選ぶ感じです。光のコントロールとしては、調光コート、偏光コート、防眩コートなどがあります。調光は室内では透明、屋外では色が着くレンズです。注意点は、車の中ではあまり色づかない、着色は数十秒だが退色は数分かかるということです。偏光は乱反射をカットし物がはっきり見えるサングラスで、釣り、ゴルフ、ドライブ、ハイキング等で重宝します。防眩コートは夜間の対向車のライトのまぶしさを軽減したり、ものがはっきり見える効果があります。

遠近メガネで首を少し横に曲げた方が手元見やすい

【50代男性】

【主訴】遠近メガネで首を少し横に曲げた方が手元見やすい

【原因】目とレンズの位置関係がずれている

【解決方法】①PDを左右で正確に測定すると右33mm左34.5mmと左右差あり ②目とレンズの距離が左が近く右が遠かった

【解説】遠近メガネは遠用部は比較的広いが、中間部や近用部はそれほど広くないので、目とレンズの位置関係がずれていると、度が合っていても近くが見づらく感じる場合がある

 

 

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◇◇ 老眼とメガネ ◇◇

 

老眼には遠近両用メガネをお勧めします。なぜ遠近メガネか一言でいうと便利だからです。老眼になると普段メガネを掛けていない人は手元が見づらくなり、老眼鏡が必要となります。老眼鏡は近くだけにピントが合うので遠くは外して見る必要があり、掛け外しが結構大変で、それで掛け外しのない遠近メガネが便利です。また普段メガネを掛けている近視の人は老眼になるとメガネを外して近くを見ます。メガネを外すと遠くは見づらいのでこの場合も掛け外しが頻繁で、掛け外しのない遠近メガネが便利です。

遠近メガネ使用によるデメリットはありませんが、しいて言うならば最初に遠近メガネを掛けるときに慣れが必要な人もいます。この「慣れ」については老眼になり始めのうちに遠近メガネにすると簡単に慣れられます。老眼の進行が進んでから初めて遠近メガネを掛けると慣れるのに日数がかかる場合があります。

すでに遠近メガネを掛けている人が見づらさを感じる場合は2つ原因が考えられます。掛けているうちにメガネが緩んだり、ぶつけたりしてメガネがずれている場合です。遠近メガネは目とメガネ(レンズ)の位置関係が非常に重要で、メガネのずれは見え方に影響します。また老眼は進行するので3年くらいたつと度が合わなくなって見づらい場合があります。この場合近くが見づらくなりますが、老眼の影響で近視が少しやわらいだり、少し遠視気味になると以前より目の疲れを感じる場合があります。いずれもメガネ店に行けば確認できます。

50代後半以降は老眼もだいぶ進むので、場合によっては遠近メガネでのデスクワークや室内作業に不具合を感じる場合があります。このような時は遠近メガネと中近メガネを併用することにより改善します。60代中ごろには老眼は進み切る形で、その後見え方の変化は少なくなります。このころに以前より見づらさを感じる場合は白内障等の可能性もあります。

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◇◇ 第五回 メガネ購入後のアドバイス ◇◇

初めて遠近メガネをかけた場合や、今までと度や設計を変えた場合、すぐになじむ方も多いのですが、違和感がある方もいます。目は(脳の視覚野は)今までの見え方に適応していて、今までと違う見え方に慣れが必要な場合があることが原因です。そのためそういう場合は、適正に作られたメガネなら2、3日から1週間くらいで快適に使えるようになります。そういう期間を持った上でまだ違和感がある場合はメガネ店に相談してください。だいたいのメガネ店は3カ月程度保証期間を設けていて、仮にレンズを交換する必要がある場合も追加料金なしでできるところが多いと思います。

メガネを使っていると、メガネをぶつけてしまったり、踏んでしまったり、修理が必要になることがあります。メガネフレームは大雑把に言って、曲がった、外れた、といった内容は店で修理可能ですが、切れた、折れたといった内容は修理工場での修理になるか、素材によっては修理不可能です。レンズ自体のキズやコート剥がれやカケはすべて修理不可能なのでレンズ交換になります。

もう少し具体的に説明しますと、まず店でなおせる内容として、メガネは何か所かネジがついていますがネジがゆるんだり外れたりして、例えばテンプル(フレームのツル)が外れてしまったり、レンズが外れてしまってびっくりするかもしれませんが比較的簡単になおせます。また曲がってしまった場合もだいたいなおせますが、戻す過程で金属が切れてしまうこともたまにあります。下だけふちのないタイプでレンズが外れた場合もなおせます。店での修理は購入した店でなら大体のところはアフターサービスとして無料だと思います。

次に修理工場でなおせる内容ですが、まず修理工場でなおす場合は2週間程度かかる場合が多く、費用も修理内容によりますが三千円~八千円程度かかります。切れた、折れたという場合、金属フレーム、アセテートのフレーム(セルフレーム)の場合は修理可能ですが、形状記憶の合成樹脂の場合は修理不可です。修理工場へはメガネ店での取次になります。

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◇◇ 第四回 メガネ購入時のアドバイス ◇◇

遠近メガネや中近メガネを購入する際の注意点を説明したいと思います。

メガネフレームを選ぶとき、遠近メガネを快適に使うための機能面でのチェックポイントとして、メガネの上下の真ん中より少し上にご自身の瞳がくるくらいがベストです。だいぶ上の方に瞳がある場合は遠近の遠用部を狭く作らざるを得なくなるか、近用部までの視線が遠くなり、遠方視野が狭くなったり、近くが見づらくなります。また、あまり瞳が下の方にきていると近用部が狭くなります。

あとメガネが目にだいぶ近いと、これも近用部に視線がとどかなく近くが見づらくなりますし、まつ毛が当たったりしていると不快です。メガネが目から離れすぎていると側方の「収差」が目線に入り気になるかもしれません。これらはフィッテイングである程度改善できるので店の人に相談してみてください。

レンズの数字の基礎知識を覚えておくと参考になります。特にCという文字のあとの数字は乱視の強さで、近視や遠視の度にくらべ検眼者の裁量が大きな数字です。しっかり乱視補正をすると目がクラクラするということもあり、検眼者に確認したりテストメガネで体感するといいと思います。もう一つは加入度(ADD)という数字で、これは老眼の進み具合で変わる数字ですが、だいたい年齢に比例します。40代後半で0.75~1.00、50代前半で1.25~1.50、50代後半で1.75~2.00、60代前半で2.25~2.50、60代後半以降2.50~3.00、検眼では少し強めに出る傾向があり、強すぎると近くはよく見えますが慣れづらかったり視野が狭く感じる場合があるので、ご自身の年齢と平均的な加入度を記憶しておき実際の数字を確認していくといいと思います。

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◇◇ 第三回 メガネ購入時のアドバイス(フレーム編) ◇◇

メガネフレームの素材は、金属(チタン、合金)と樹脂(アセテート、合成樹脂)に分けられます。チタンは軽くて丈夫で、ベータチタンのようにバネ性(形状記憶)のあるものもあり、おススメの素材です。価格は合金より高めですが最近は比較的お求めやすい価格になってきました。合金はチタンより少し重量があります。また、金属アレルギーのある人には向いていませんが、安く購入できます。アセテートはセルフレームと言われて植物性の樹脂でできています。デザインや色が多様で見た目も美しく、低価格~ブランド品(一般に高価格)まで多様です。石油由来の合成樹脂は、軽くて弾力性があり、かけ心地がいいものが多く価格も比較的安価です。

産地は、低価格品の多くは中国で、日本製は比較的高価です。一部イタリアなど欧州製がありますがブランド品が多く高価です。産地にかかわらず有名ブランド品のほとんどは高価なフレームです。

性能や品質は、日本製は一般的には高性能で長持ちします。日本製のチタンフレームを選んでおけばほぼ間違いありません。中国製は品質にバラつきがあるような気がします。中には雑な作りのものも見受けられます。欧州製はデザイン重視だったり白人の顔の造作に適しているものなどが見受けられますが、非常にいい製品もあります。樹脂フレームでアセテートは鼻パットがついてないものが多いので掛けたときに鼻元のフィット感がよいか(ずり落ちないか)確認する必要があります。特に遠近や中近メガネにする場合はここのフィット感は重要です。合成樹脂はかけ心地のいいタイプが多いと思いますが、耐久性としては他に比べ低いものもあるので長く使う方は注意が必要です。

度の強い人に適さない横幅が広いフレームや、遠近に適さない縦幅が短いフレームなどもあるので、決める時は店の人に確認してもらうとよいかと思います。

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◇◇ 第二回 メガネ購入時のアドバイス(レンズ編) ◇◇

今回はレンズに関してメガネ購入時のお役立ち情報をお送りしたいと思います。レンズは大きく分けると2種類あります。一つは「単焦点レンズ」というもので、用途は近視や遠視や乱視補正、お手元用です。もう一つは「多焦点レンズ」で遠近や中近など老眼補正です。

両方に共通していることとしてレンズの素材区分があります。薄型や超薄型などと呼ばれていますが、主に5種類あり、レンズ素材の屈折率(1.50、1.56、1.60、1.67、1.74)の違いで、数字が大きいほど同じ度でも薄く軽く仕上がりますが、一般的には価格も上がります。ここでのコツは、度の弱い人は高屈折のレンズにする必要はないということです。素材に関しては、値段が高い方がいいだろうということではなく、その人の度に合った屈折率でいいということです。

あと遠近や中近についてのコツになりますが、遠近や中近は屈折率によるグレードの違いと設計によるグレードの違いがあり、設計によるグレードの違いの方が価格差が大きくなっています。ハイグレード品は性能もよく快適ですが、ハイグレードでなければダメということはありません。老眼の進み具合は初期(40代~50代初)、中期(50代)、後期(60代以降)となりますが、老眼の進行に伴い遠近や中近レンズの上部(遠くを見る度)と下部(近くを見る度)の差(加入度)をだんだん大きくする必要があります。初期で加入0.75~1.25、中期で1.50~2.00、後期で2.25~2.75、加入度が大きくなるとレンズの側方部(両端)の収差(ボケ、ゆがみ)が大きくなり明視域が狭くなります。この時にハイグレード品の方が快適な視界になります。初期の段階ではグレードの差による見え方の差は中期以降より少ないので、どうしてもハイグレードにしなくてはいけないということはないと思います。

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◇◇ 第一回 メガネ購入前の一般知識 ◇◇

 

今回のシリーズは、遠近や中近メガネを中心にメガネに関して、購入前、購入時、購入後にそれぞれ役立つ情報を月1回6か月間掲載させていただきますので、ぜひご参考になさってみてください。

早速、今回第一回は購入前の一般情報をお伝えします。

メガネ製作にかかわるのは、レンズメーカー、フレームメーカー、メガネ店です。

レンズメーカーはそれほど数が多くなく、HOYA、SEIKO、NIKON大手3社と中小の何社かです。大手3社で70%以上のシェアを占めます。メガネレンズは医療機器の扱いで、性能や品質はどれも一定水準以上でいわゆる粗悪品はありません。遠近や中近レンズの性能もどのメーカーもだいたい横並びのような感じがします。レンズに関してあまり当たりはずれはないと考えていいと思います。

一方フレームメーカーは比較的多数です。後の回で購入時のコツを詳しく説明しますが、フレームは素材や生産地によって性能に特徴や違いがあるので、店の人に相談するか、ご自身で絞り込んだ場合も最後に店の人に確認して決めた方がいいと思います。

メガネ店(松本地域の)は大きく分けると、①低価格指向の全国チェーン店、②一定価格(2万円前後)の全国チェーン店、③地元のチェーン店、④地元の小規模専門店になります。どの店でもすべての種類のメガネ(単焦点、遠近、中近等)が入手可能ですが、特徴や得意分野もあります。①は低予算で購入でき、比較的若年層中心、②③はメガネの種類や客層も多様でオールマイティ、④は取り揃えに特徴のある店があり、ハイセンスのフレームの店、高級ブランドを揃えた店、当店のように遠近や中近を得意とする店、などがあります。

老眼と理想のメガネライフ

老眼になるとなにかと不便ですが、メガネにより解消できます。

老眼は40代中ごろから始まり、徐々に進行して60代後半まで進みます。老眼の程度を「弱」「中」「強」とすると、50代前後までが弱い老眼、50代中ごろが中程度、60前後以降が強い老眼となります。

生活環境にもよりますが、弱の時期は遠近メガネだけで日常生活全般をカバーできます。

老眼が中程度に進んでくると、デスクワークにおいて遠近メガネの下の方の近用部でパソコンの画面を見るようになり、アゴを上げた状態になって疲れます。また遠近メガネの近用部は上の方より視界が狭いのでこちらも見づらい原因となります。この場合日常は遠近メガネ、仕事用に中近メガネを加えることで快適になります。

趣味や生活環境によりますが、寝転んでスマホや本を見たい人は、手元用メガネが一本あるととても便利です。できればブルーライトカット機能を付ければ目の疲れ軽減や睡眠の質の向上に効果があります。

あとはアウトドアや車の運転用にサングラスタイプの遠近メガネがあると、紫外線対策に加えまぶしさ対策にもなり、屋外での視生活が快適になります。

老眼が進んできたときに、ストレスの少ない視生活を実現するためにはこのように少し工夫が必要となってきます。

以前よりまぶしさを感じる

太陽の強い日差しには皆まぶしさを感じますが、夜間運転で対向車のライトがまぶしい、部屋の中でもまぶしさを感じる等、日常生活で以前よりまぶしさを感じる場合の原因と対策について説明します。

大きくは2つほど、さらにこういうこともありうるという内容を2つほど。

まず目自体に原因がある場合があります。目の中の水晶体が濁り、視力に影響が出てくるのが白内障ですが、白内障までいかなくても多くの人が加齢で徐々に水晶体が濁り、眼内で光が乱反射してまぶしいことがあります。また最近ライトの光源がLEDとなってきて以前よりまぶしさを感じる場合があります。このような場合は、レンズに特殊なコーティングやカラーリングをしたメガネが有効な場合があります。透明タイプのものと、夜間でもOKな程度の薄い色のついたものがあります。

あと考えられることとして、使っているメガネのコーティングがいたんでいて散乱した光が目に入り見づらい場合があります。また近視や乱視の補正が適正におこなわれていないメガネで光の散乱現象により見え方に違和感が生じる場合があります。これらはメガネ店で確認できるので、原因がこういった場合はレンズを交換することで解決します。

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