2015年10月 のアーカイブ

知っておきたい「遠近両用メガネ」の話 第5話

第5話 老眼について知っておきましょう!

40代後半になるとどなたも老眼を経験することになります。老眼は一般的には近いところが見えづらくなる現象ですが、若いころからメガネを掛けている人とメガネを掛けていない人で、老眼になった時の仕草が違います。若いころからメガネを掛けている人は、大部分が近視の人です。近視の特徴を一言で言うと、遠くがぼやけて近くにピントが合う目です。遠くがぼやけると学校で黒板の字が見えなかったり、運転免許で視力が足りなかったり不便なのでメガネを掛けます。強めの近視の人はメガネを外すとだいぶ近いところでピントが合います。また弱めから中程度の近視の人は40代後半になっても、メガネを外すとちょうど手元でピントが合うので、老眼ではないと思う人もいますが、その状態では遠くがぼやけ、メガネを掛けると遠くはハッキリしますが近くが見づらいので、目の状態は老眼です。おでこにメガネを上げて近くを見るのが特徴的な仕草です。一方、若いころからメガネを掛けていない人には、正視(近視でも遠視でもない)の人と、遠視の人がいます。正視の人が40代後半くらいから老眼になると、遠くは相変わらずよく見えますが、近いところが見えづらくなります。一方遠視の目は遠くが良く見えて近くが苦手な目です。遠視の人が老眼になると、遠視の強弱にもよりますが、早い人では40才前後から近いところが見づらくなります。正視や遠視の人が老眼鏡を使うと遠くを見る時は老眼鏡が邪魔なのでよく鼻メガネになります。

では老眼とは何でしょうか?これも一言でいうと遠くから近くまで無意識にピントを合わせる力=調節力の衰えです。調節力の衰えが何故おこるかというと、目の水晶体の硬化と目の筋肉=毛様体筋の衰えです。

その2つの進行により水晶体を膨らませることができなくなり、自在なピント合わせができなくなってきた状態です。よく老眼鏡に+1.00(弱)+2.00(中)+3.00(強)などと書いてあると思いますが、水晶体を膨らませて+3.00度を強くすると3.00の逆数(1÷3.00)=0.33mすなわち33cmにピントを合わせる事ができます。老眼はこのことが段々できなくなるということで、自力で調節できるのが40代後半で+2.50~+1.75 見える近いところは40cm(1÷2.50=0.4m)~57cm(1÷1.75=0.57m) 50代で+1.75~+0.75(57cm~133cm) 60代以降で+0.75~+0.25(133cm~400cm) 33cmのところを見るためには必要な調節力+3.00に対して足りない部分をメガネで補うことになります。例えば自力が+1.00なら+2.00の加入度のメガネとなります。なお、ここにあげた数字は日常生活でPC画面や新聞等ある程度持続して見る場合の調節力です。瞬間ならこの数字の倍くらいいけるかもしれません。

老眼の進行を遅らせるために調節力を鍛えたいと、かなり近くが見づらくても頑張ってメガネを掛けないとうい人がいます。しかし老眼(水晶体の硬化と毛様体筋の衰え)は年齢とともに必ず進行し鍛えて維持したり強化することはできません。遠近両用メガネは使用するそれぞれの人に最適な加入度で作ります。言い変えると、その人がその年齢で発揮できる調節力は自力で最大発揮しながら、それ以上は無理な部分を適正な加入度で補っています。だから遠近両用メガネを掛けたからといって掛けないより老眼が早く進むということはありあません。目は膨大な情報をとらえる重要な器官ですから、見づらいのを我慢していることによる眼精疲労や、ストレスが体に及ぼす悪影響の方が問題が大きいと言われています。