2024年2月 のアーカイブ
遠近メガネ よくある質問
Q:遠近メガネは「試したが掛けられなかった」という話を聞くが。
A:遠近レンズは進化しています。「境目のない遠近メガネ」の、なめらかに度が変わる「累進面」がレンズの「おもて側」に施された「外面累進」レンズが従来主流でした。予め共通の累進面を作っておき、そのレンズの「うら面」を研磨してその人の近視や乱視の度を組み合わせて作りますが、共通の累進面はあたかも既製服のサイズのようなくくりで、ピッタリ合う人はいいのですがMとLの間の体型のように着心地、レンズでいうと見え方、がイマイチという人もいました。これに対して最近の主流は「内面累進」といって、メーカーは注文データに基づき個々に累進面と近視、乱視の度などすべてをうら面に設計して生産します。これはオーダーメイド服のようにその人にピッタリのものが出来上がります。内面累進になって掛けられないというケースは減りました。
Q:遠近メガネを使っているがどうも見えづらいのだが。
A:考えられるのは、度数が合っているかどうかと、目とメガネの位置関係が合っているかで、メガネ店でチェックすれば原因がわかります。老眼は徐々に進行するので、3~4年くらいで近くが見づらくなることがあります。メガネが下がっていると近くが見づらい、上っていると遠くがボヤケます。また上下の位置が適正でもメガネが近すぎると近くが見づらい、遠すぎると視界が歪むということがあります。瞳孔の位置がきちんと測定されてなくレンズの焦点(フィッティングポイント)とずれていると横の方がぼやけたりします。
Q:遠近メガネを掛けると老眼が進むのでは。
A:遠近メガネを掛けずに近くや遠くを見て、目を甘やかさず鍛えるとうことかもしれませんが、老眼は水晶体の硬化とそれに付随する筋の衰えが原因で、白髪の進行が止められないように水晶体の硬化は止められません。筋の衰えも腹筋のような随意筋は鍛えられますが、心臓のような不随意筋なので鍛えることはできません。また遠近メガネは個人個人の老眼の進行度を測り、足りない部分だけを補うという仕組みで作られるので、遠近メガネを掛けていてもその人の持っているピント調節能力は十分使っています。従って遠近メガネを掛けても掛けなくても老眼の進行は同じです。
Q:自分は近くが見えるので老眼ではないのでは。
A:50代以降も近くが見える人は多くいますが全員老眼です。近くが見えるのは近視の人です。何歳になっても近視の人がメガネを外せば(焦点距離に差はありますが)近くが見えます。老眼というのは遠くから近くまで自在にピント調節できなくなった目のことです。近視の人も老眼になると(遠近でない)近視用のメガネを掛けた状態では近くは見えません。人数は非常に少ないのですが年をとっても近くも遠くも見える人がいます。この人は不同視といって左右で目の度が異なり、たまたま片方の目は遠くに合い、もう片方が近くに合う場合です。便利でいいと思うかもしれませんが疲れやすい目です。
Q:なぜ遠近メガネは値段差があるのか、安いのはダメなのか。
A:メーカーがグレード分けしていて、(メガネ店の)仕入れ価格の高安が反映されます。高いレンズはレンズ側方の収差(歪みやボヤケ)が少ない、薄く軽い等の利点があります。
安いのはダメかというと一概にそうとも言えません。老眼が進行してきた50代後半からは遠近レンズの遠くと近くの度の差が大きくなり、そうすると収差エリアも広がるので、収差の少ない高グレードの方が良好ですが、それまでは、差はありますがそれほど顕著ではありません。また近視や老眼の度の弱い人は元々薄く軽く仕上がるので、超薄型レンズ等にしてもそれほど違いはありません。あとフレームの価格差もあります。海外で大量生産されたものは安く、日本製や有名ブランド品は高めです。国産はいいものが多いですが、フレームも安いからダメということはないと思います。
Q:遠近メガネ、メガネ店選びは、値段は。
A:特別なセールを除くと、松本近辺では、安いところで税込13,000円前後から購入できます。平均でいうともっと高く3万円台くらいだと思います。最近の遠近レンズは進化していて安いから見えづらいということはないと思います。当店でも税込14,300円からご用意しています。具体的にどの店とは言えませんが、遠近メガネを作る場合は知識と経験が必要なので、数を多くこなしている店が安心です。具体的には、遠近は目とメガネの位置関係が重要なので、正確な測定とメガネが安定して掛けられるようにするフィッティング技術が重要です。また見え方に違和感がある場合に、原因と対策が見極められる人がいる店なら安心感があると思います。
Q:遠近メガネを掛ければ若いころと同じように見えるか。
A:老眼の不便を解消するために一番いい方法は遠近メガネだと思います。しかし若いころと同じ快適な視界というわけにはいきません。老眼になる前は意識しなくても目が遠くから近くまで瞬時にピント調整してくれるので、遠くも近くも目全体の広い視界で見えます。遠近メガネはレンズの中に遠くから近くまでそれぞれにピントが合うエリアを設定していて、視線の上げ下げで所定のエリアから物を見ることで遠くから近くまでピントが合う仕組みです。従って物理的にそれぞれの視界は狭くなり、老眼になる前のようにすべて広い視界で見るというわけにはいきません。
Q:老眼になったら、遠近メガネをかけなくてはいけないか。
A:遠くが見えて普段メガネを掛けていない正視や弱い近視や遠視の人は、手元用メガネを掛ければ近くが見えます。遠くが見づらいので普段メガネを掛けている近視の人は、メガネを外せば近くが見えます。それで生活上問題がなければ遠近を掛けなくてもいいと思います。しかし日常生活で、手元の資料とホワイトボード、対面の人の顔を見たりスマホやメニューを見たり、買い物で値段を見たり歩いたり、遠くを見る、近くを見る、のたびにしょっちゅうメガネの掛け外しが必要となる場面は多く、そのわずらわしさを解消するのが遠近メガネです。
Q:既成老眼鏡は掛けない方がいいか。
A:住所氏名を記入する等短時間なら既成老眼鏡で問題ありませんが、読書やスマホを見る等ある程度時間がかかるときは、目の為には既成老眼鏡ではなく、その人の目に合わせて作られた老眼鏡や遠近メガネを使用した方がいいと思います。その理由は2つあります。メガネはレンズの焦点と目の瞳孔を合わせて作られますが、そうでないとプリズムが発生し目が疲れます。既成老眼鏡は一定のためそれぞれの人の目の位置と合う確率は低いと思います。また左右の目に度数差がある人は結構多く、既製老眼鏡は同じ度なのでどちらかの目に負担がかかります。
Q:遠近と中近どちらがいいか。
A:中近は遠近を使っている人がデスクワーク等をより快適にするために併用するようなメガネです。50代前半くらいまでは細かい作業等をする人を除き、遠近だけでもさほど不便は感じないと思いますが、老眼が進んでくる50代後半以降は、遠近だとアゴを上げてパソコンの画面を見て疲れる、狭いエリアから近くを見るので見づらい等の問題が生じる場合があります。こういう時に快適に見えるのが中近です。中近は室内程度なら遠くも見えるので室内用メガネとも言われます。遠くを見るエリアが狭いので、車の運転やスポーツ等には適していません。例えば通勤時は遠近で、会社に着くと中近に変えるといったイメージです。
Q:老眼はいつまで進むのか、メガネは買い替えなくてはいけないか。
A:老眼は40代中ごろから始まり70才くらいまで徐々に進行します。遠近メガネの数値に加入度というのがあり、遠くを見る上部の度数と近くを見る下部の度数の差の数字で、0.25単位で老眼の進行と共に増えていきます。老眼なり始めは+1.00くらいから50才で+1.50くらい、60才で+2.25くらい、最終的に+3.00近くになります。だいたい3年くらいで1段階上げていく必要があり、メガネを作り変える必要があります。フレームは活かしてレンズだけ交換することもできます。
Q:初めての遠近、慣れられるか
A:適正に作られていれば基本慣れられますが、慣れやすさに個人差があります。傾向としては2つあります。遠近デビューが何歳かということと、それまでにメガネをかけていたか(遠近でない近視用メガネ)どうかです。年令を40代~50代前半と50代後半以降に分けてみると、一番慣れやすいのが今までメガネを掛けてきた人で40代~50代前半の人です。掛けた瞬間から違和感なく掛けられる人も少なくありません。今まで掛けていた人で50代後半以降の人は少し慣れの時間が必要になる場合が多いようです。今までメガネを掛けてきてない人は、レンズを通した視界や物理的に顔にメガネを掛けていることへの慣れも必要なので、今までメガネを掛けてきた人より慣れるのに時間を要します。特に50代後半以降の場合はメガネ製作時の度数のさじ加減や慣れ方の詳しい説明を必要とします。