2014年7月 のアーカイブ
フォーサイトの遠近両用メガネ、その背景には・・・
40代中ごろからの老眼はやっかいなもので、遠くも近くも見えるのは当たり前だったのが、遠くがよく見えると近くが見づらい、近くを見やすくすると遠くが見づらい、見づらいとしかめっ面になったり、シワになったり、肩こりの原因になったりします。今までメガネの必要がなかった人は、老眼鏡を掛けたら遠くは見えない、掛け外しが面倒で鼻メガネに、でも鼻メガネは結構年齢を感じさせるスタイルです。
そこで、解決策としては遠近両用メガネ!しかし、遠近を使っている人の中にも見え方が気に入ってなかったり、そもそも遠近を試したが自分には合わないと思っている方も。
遠近両用メガネは40代後半以降の視生活を快適にすることに間違いありませんが、条件があります。
私は、メーカーでメガネレンズの企画開発を長年行ってきました。遠近両用レンズはいろいろな設計が工夫されメーカー間でしのぎを削っています。メガネ業界も、技術の進歩で自動化された検眼機やメガネ加工機で、マニュアル的にメガネが出来るようになってきました。しかし、メーカーがどんなにいい製品を開発しても、遠近両用メガネはメガネ店の技量で出来上がりに差が生じてしまいます。私はメーカーの企画部門にいた時に、ハード面でレンズを企画開発するだけでなく、メガネとして仕上げるメガネ店が最適の遠近メガネに仕上げるためのソフト面でのソリューション(解決)提案ができないか考えました。いい遠近メガネを作るためには、通常の検眼だけでなく、使用者がどういう環境で使用するか(例えばデスクワークが多く、パソコンの画面は少し離して見る等)や、今までどんなメガネを掛けてきたか、等の個別情報を基に、最適のレンズ設計を選定し、メガネとして適正な状態(目とレンズの位置関係等)で掛けられるようにフィッティング(調整)することが重要だからです。しかし、メーカーの立場でこのようなしくみを作ることは結局できませんでした。
それで、いろいろ考えた末に、自分自身でメガネ店を運営していいメガネを提供することを決め、6年前にこの店を開業しました。小規模な店ですが、自分の経験を活かして、ユーザー(お客さん)一人ひとりに満足していただける遠近メガネを、できるだけ価格も抑えて提供すること、遠近メガネの講習会を行うこと、などの活動を行っています。
中近メガネで解決
♪中近メガネはこんな方にオススメ♪
☆パソコンやデスクワーク、読書の時間が長い方
☆50代半ば以降で遠近メガネでパソコン等が見づらくなってきた方
☆室内でのお仕事の方
【何故中近メガネがよいか?】 遠近両用メガネはオールマイティの常用メガネとして必要ですが、遠いところを見るエリア(遠方)、パソコンの画面やその少し先位を見るエリア(中間)、手元を見るエリア(近方)、がレンズの中に配置されていて、遠用部が一番広く配置される為、中間部と近用部はコンパクトになっています。(下図左参照) 老眼の度が進んでくると(加入2.00以上 55才以上)、設計上中間部はさらに狭くならざるを得ません。
通常の視生活では問題ありませんが、長時間のパソコン、読書、細かい物を見る、等では狭いエリアを多用するので見づらくなったり、疲れたりします。また、少しアゴを上げて画面を見たりするので姿勢的に疲れる場合もあります。中近メガネは遠用部より中間部と近用部を広く設計したメガネです。(下図右参照) 欠点は遠用部が狭いため車の運転等遠くを見る事には適していません。しかし室内くらいの距離ならOKですので、一般の老眼鏡のように掛けたままでは歩けないことはなく便利です。パソコンの画面や手元は圧倒的に遠近より広いので楽です。
遠近両用メガネを買いに行くときの準備事項
遠近両用メガネを買いに行く時の準備として、
1.普段メガネを使っている方はそのメガネをご持参下さい。
2.今のメガネでの(メガネをしてない人はしてない状態で)不具合点を説明できるようにしておいて下さい。
3.「見る」という観点から、仕事やオフでどのような時間が長いかを説明できるようにしておいて下さい。
4.眼科関係で何かあったら説明できるようにしておいて下さい。
では次に、それぞれについての具体例や、よい遠近両用メガネを作るために何故そのような情報が必要かを説明したいと思います。
1について、例えば、運転用とお手元用を使い分けている等、複数のメガネを使用している場合は、両方ご持参頂いた方がいいと思います。また、コンタクトレンズをお使いの方はその種類(ハード/ソフト)と度数。新しくメガネを作る場合は、それまで目が置かれてきた環境の情報は非常に重要です。目をお測りしてピッタリの度数で作ったとしても、今までお使いのメガネと大きく違う度の場合、慣れられないこともあります。また次の2と関係しますが、お使いのメガネでの不具合点を改善するためには、お使いのメガネの度数や、掛けたときの状態(目に対する位置関係等)を確認する必要があります。
2について、例えば、新聞の字が見ずらい。パソコンの画面が見づらい。また、もう少しテレビの画面をはっきりみたい等、ご希望点という観点でもよいかと思います。何故今のメガネでそのような不具合点が生じているのかの原因を1つ1つ追求し、検眼によりどの程度の改善(度数)が必要かを判断します。
3について、例えば、読書の時間が長い、パソコンの時間が長い、検査の仕事をしている、スポーツをしている等、目の置かれている状況の確認ですが、より具体的に説明していただけると、最適のレンズ設計を選んだり、度数を決めることができます。読書する時の目と本の距離、パソコンとの位置関係、目からの距離や画面の位置(目に対して正面か下の方か)、どれくらい細かいものをどの位置で検査するか、等。遠近両用レンズの設計は見た目にはわかりませんが、多くの種類がメーカーから用意されていて、メガネ店でこの中から最適なものを選べるかは大きなポイントになります。
4について、例えば、白内障の手術を受けたとしたらいつ受けたか等、お伺いできる範囲での確認。
最適のメガネを作るために、メガネ店のスタッフはこのような情報を伺いながらひとつひとつ判断していきます。遠近両用メガネは特に技術的要素の高いメガネですから、正確な情報が伝わるよう、予め上記のようなことを頭の中で少しまとめてから店舗に赴くとよろしかと思います。