2015年7月 のアーカイブ

市民タイムス7月掲載「知っておきたい遠近両用メガネの話」第3話

第3話 「中近メガネの構造と使い方」

老眼対策のメガネとしては、生活のほとんどの場面に対応できる遠近両用メガネが一般的ですが、より快適な視生活を実現するために中近メガネを併用する場合があります。

中近レンズの構造図

中近メガネは遠近両用メガネの設計技術を応用して作られたメガネで、設計上は中間部が20mm~25mmと長く、遠用部が狭い構造になっています。視線のほとんどが中間部と近用部を使うことになります。その結果、お手元からパソコンの画面あたりが遠近両用メガネより広い視界になります。遠用部が狭いのと度数が連続的に徐々に変化している中間部で少し離れたところを見るため、遠いところが少しぼやけたり、遠近両用メガネの見え方に慣れていると、使い始めの時に少し離れたあたりの見え方に違和感を感じる場合があります。では、中近メガネはどういう時に便利かと言うと、長時間のデスクワーク、細かいものを見る場合、また、50代後半以降で遠近でパソコンの画面をアゴを上げて見て疲れる等の場合に便利です。室内程度の距離ならだいたい見る事ができ、掛けたまま歩けます。中近レンズは、近く重視の設計や、遠くもある程度見える設計など、設計上の特徴が遠近両用レンズ以上にハッキリしています。また、メガネ店での度数の決め方やメガネフレームへのレンズのセット位置でも見え方がだいぶ変わります。それで、中近メガネを作る場合は、使用者とメガネ店でよく意思疎通をしておかないと、思惑通りのメガネにならない場合があるので要注意です。遠近両用メガネの場合もそうですが、メガネ店に相談に行く前に、現在見え方でどういう時に不便を感じているか、パソコンを長時間使うか、その場合のパソコンのモニター(画面)の目からの距離や高さなどを説明できるように整理しておくのが良いと思います。

ほかには、近々メガネというものがあります。老眼鏡に少し奥行きを持たせたメガネです。用途はほとんどパソコンを使うとき用で、特に老眼がだいぶ進んだ60代以降でパソコンを楽に見たい場合です。掛けたまま歩くのには適していません。

あと、老眼鏡を使う場合、既製老眼鏡は安くて便利ですが、目のためには測定に基づいた正確な度数と、瞳とレンズの焦点の正しい位置関係から作られたメガネをオススメします。

市民タイムス6月掲載「知っておきたい遠近両用メガネの話」 第2話

第2話 「快適な遠近メガネにするためのキーポイント」

遠近両用メガネは遠くから手元までピントが合うので、生活シーンのほとんどをカバーする便利なメガネです。最近手元が見づらいと感じ始めた方や、すでに遠近両用メガネを掛けているけれど、どうも見えづらいといった方がいると思います。

<快適な遠近両用メガネの3つのポイント>

お使いの遠近両用メガネに不具合を感じる場合、3点ほどチェックポイントがあります。1つは、目の中心とレンズの焦点の位置、目とレンズの距離、レンズの傾き具合等、目とメガネの位置関係が適切でない場合です。この場合は、メガネを変えなくても調整を正確にしなおせば解決する場合があります。2つ目は、レンズの設計が合っていない場合です。レンズメーカーは何社もあり、各社がいろいろな設計のレンズを出しているので、メガネ店が、使用者に一番合った設計を選択する必要があります。例えば、近いところを見る時に、レンズの累進帯長(レンズ上部の遠くを見るエリアと下部の近くを見るエリアを結ぶなだらかに度が変化していく部分の長さ)が長くて、目線がレンズの近くを見るエリアにとどかないといった事例は時々確認されます。レンズ設計が合わない場合は、レンズを替える必要がありますが、目の状況や使用環境に合った設計のレンズに変えるとかなり快適な見え方になります。3つ目は、度数が合っていない場合です。老眼は進行するので、その結果度が合わなくなったりします。また、老眼の進行と共に従来より少し近視の度合いが弱くなることもあり、以前のメガネだと目に負担がかかっていることがあります。

<初めて遠近両用メガネ>

初めて遠近両用メガネを掛けて見ようか、という時は何かと不安があるかと思います。私は年に2回行っているセミナーで、遠近両用メガネをテーマに、老眼のメカニズム、遠近両用メガネの構造、慣れ方や使い方のコツ、などを説明していますが、店舗で実際にお作りする時もそれぞれのポイントをご説明しています。前述の3つのポイントが適切に作られていることと、初めての場合は慣れて使えるようになるということも重要なポイントとなるので、目の状況や、今までメガネをかけていたかいなかったかなど、おひとりずつのケースで工夫が必要になります。そして、慣れ方について脳のしくみも交えてお話しています。

<メガネでオシャレを楽しむ>

メガネは視力的に目に合っていることが前提ですが、ファッション的に似合っていることも重要なポイントだと思います。遠近両用メガネが必要な世代は、エイジングケアに関心がある人も多いと思います。メガネのデザインや色により、だいぶ若々しい印象にできます。また、レンズにうっすら色を入れる事で、小じわやくすみを目立たなくすることができ、オシャレの重要なアイテムともなります。