下方回旋とは

遠近両用メガネは主に縦の視線移動で遠いところから近いところまでピントの合うメガネです。

視線を移動させるためには目(目玉)を動かす必要があり、目は周りの眼筋によって360度上下左右に動きます。これを専門用語で回旋といいます。

遠近メガネで活躍するのが下方回旋、すなわち目を下方に動かすことです。

 

遠近メガネで近いところが見づらい場合、老眼が進んで近いところの度を変えなくてはならない場合が多いのですが、自然な下方回旋でメガネの下部にある近いところを見るエリア(図の近用部)まで視線が届かないことが原因の場合もあります。

その理由としては、主に2つ考えられます。1つは単純にフィッティングがきちんとできていなくて、メガネが下がってしまい近用部に視線が届かないこと。もう1つは、遠近レンズの設計が使用条件に合っていない場合です。

具体的には、鼻パットのないセルフレーム(プラスチックフレーム)などは、個人の鼻の形状にもよりますが、比較的目に近い位置にレンズがくることがあります。(ちなみにレンズと目の距離を角膜頂点間距離といい12mmに設定することを前提にレンズの度数が設計されています。)

隔膜頂点間距離

その場合想像していただくとわかると思いますが近用部まで視線を持っていくのが、頂点間距離が長い場合よりもきつくなります。従ってそのような場合は中間部の短い(近用部までの距離が短い)設計にする必要があります。実際はレンズ自体の傾き(前傾角)も要素に入れる必要があります。

前傾角


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