2024年6月 のアーカイブ
遠近メガネは遠近(だけ)ではない
遠近メガネ、英語ではbifocals(バイフォーカル)、いずれも昔からの言い方で、1760年ころにベンジャミン・フランクリンによって遠近メガネが発明されて以来の言い方です。あまり一般的ではありませんが、現在の正式名称は累進屈折力レンズ、英語ではprogressive lensです。遠近レンズは長年「上部に遠用部、下部に近用部の、境目のあるメガネ」でしたが、1950年代に境目のない遠近レンズ(累進レンズ)が開発され、現在遠近といえばほぼ累進レンズですが、今でも名前だけは日本語でも英語でも昔からの遠近メガネ(bifocals)となっています。
両者の大きな違いは、遠くと近くだけにピントが合う2焦点か、遠くから近くまで全部の距離にピントが合う累進多焦点かということです。上部の遠くを見るエリアと下部の近くを見るエリアをつなぐ、徐々に滑らかに度が変わる中間部があることが特徴です。
この新しい遠近メガネ、正確には累進屈折力メガネは誕生してから60年あまりですが、その間進化を遂げてきました。1980年代ドイツのツァイス社による両眼視が快適になる水平対称設計や、1990年代セイコーエプソン社のフリーフォーム設計・生産技術による内面累進レンズなどが主で、その結果、現在遠近メガネと言われているメガネは、技術の結晶として格段に使いやすくなった累進屈折力メガネです。