中近メガネは累進帯で見る(・・?

累進帯とは度が滑らかに変化する領域で、遠近メガネや中近メガネはこの累進帯の技術により、境目がなく目線の移動で遠くから近くまで焦点が合う使いやすいメガネになりました。累進帯での度の変化量を加入度といいます。50才で加入度1.00くらい、60才で2.00くらいです。(個人差があります)

遠近メガネはレンズの上半分に遠くを見るときの度が入っているエリア(遠用部)があり、その下に累進帯(中間部)があり、その下に近くを見るときの度が入っているエリア(近用部)があります。

例えば正視の人で加入2.00の遠近メガネは、遠用部の度が0.00、近用部の度が+2.00となります。

 

 

ところで、メガネを作るときにはフィッティングポイント(FP)と言って、遠く(無限遠)を正面視したときの瞳の中心をレンズの所定の位置に合わせる作業が必要です。

遠近メガネはこのFPが遠用部に設定されます。(通常遠用部と中間部の境目から2mmほど上あたり)したがって、まっすぐ前を見たときの視線は遠用部にあり、遠くがよく見えます。そして視線を下げていくと焦点はだんだん近づいてきます。

これに対して中近メガネは累進帯が遠近より長く20~24mmほどあります。(製品によって20mmだったり23mmだったりします)

中近の特徴としてはFPが累進帯の中に設定されることにあります。どこに設定するかは使用条件によって若干異なりますが、一般的には、例えば累進帯長が20mmの製品では上から8mmのところに合わせます。

ここから少し専門的になりますができるだけわかりやすく説明しますので興味のあるか方は読んでみてください。

正視の人で加入2.00の中近メガネで説明すると、まっすぐ前を見た時には累進帯20mmの中で上から8mmのところで見ることになり、加入2.00×8/20=+0.80の度が入った位置で見ます。レンズの度と焦点距離は逆数の関係となっています。計算上FPでの焦点距離は1÷0.80=1.25mとなります。ちなみに加入2.00の中近とは、近用部でものを見るとき、例えば33cmでものを見るとき自力の調節力(目が水晶体を膨らませて遠くから近くにピントを合わせる力)+1.00にメガネが+2.00のサポートをして+3.00=1÷3.00=0.33mにしているという意味です。

FPではレンズの度+0.80に自力の+1.00を加えると+1.80=1÷1.80=0.55m すなわち125cm~55cmに焦点が合う中近メガネということになります。

実際の場面で言うと、例えばデスクワークで見るディスプレイがデスクトップPCのように正面の高さの場合には125cm~55cm内の位置に置けば大丈夫です。

ノートPCの場合は一般的にもう少し目線を下げた位置にディスプレイがあると思います。例えばFPからもう6mm下から見ると、その位置の度は+2.00×(8mm+6mm)/20mmなので+1.40となります。この時の焦点距離は1÷1.40=0.71mです。自力の調節力+1.00を加えると1÷(1.40+1.00)=0.42mなので、この位置では71cm~42cmが見え、デスクワークとしては快適な状態となります。

調節力というのは、40代半ばくらいまでは+3.00以上あるので近くに焦点を合わせるのにメガネのサポートはいりません。しかし50才で+2.00 55才で+1.50 60才で+1.00と衰えてきます。(この数字は長時間近くを見るときの数字で瞬間見るだけならこの倍くらいの調節力があると言われています)

33cmを見るときの度は+3.00なので、50才では+1.00 55才では+1.50 60才では+2.00のメガネのサポートが必要となります。


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